鈴木伸元『加害者家族』(幻冬舎新書)


発行:2010.11.30



 平成20年の犯罪件数は253万3351件。被害者家族はマスコミ取材による二次被害で心の傷が癒える間もないが、実は加害者家族も凄惨な生活を強いられる。身内の犯罪を機に失職や転居を余儀なくされるだけでなく、インターネットで誹謗中傷され、写真や個人情報まで流出される。そんな過酷な現実を受け止められず、自殺する人も多い。事件への自らの非力を嘆き激しい後悔に暮れる加害者家族も多いが、そもそも身内の犯罪を未然に防ぐには限度がある。まさに他人事ではない実態を明らかにした、衝撃の一冊。(粗筋妖怪より引用)

【目次】
 第1章 しあわせな家族が、ある日突然、崩壊した
 第2章 加害者家族の顛末
 第3章 インターネットの暴走
 第4章 加害者家族をとりまく社会
 第5章 加害者家族にとって必要なこと

 鈴木伸元はNHKの報道番組ディレクター。本書は2010年4月に放送された『クローズアップ現代』」「犯罪“加害者”家族たちの告白」の取材を基に、番組では紹介しきれなかった情報などを大幅に加筆してまとめたものである。無名・匿名の事件から、連続幼女誘拐殺人、和歌山毒物カレー事件などの有名事件における加害者家族が取り上げられている。
 事件が起きて、加害者家族もまた被害を受ける。マスコミに追いかけられ、周囲からは責められ、見知らぬ人たちから罵られ。加害者が責められるのは仕方ないことであったとしても、家族には関係のない話である(関係がある人たちもいるが……)。加害者に関係している相手には何をしてもよい、という誤った考えが世に蔓延っているのはどうにかならないものかと思ってしまう。特に子供たちは、何の関係もないだろう。守るべき学校が冷淡になるという現状は、やはりおかしい。
 少年事件だと、何から何まで矛盾を感じてしまう。だからといって、インターネット上での犯人探しはどうかとも思ってしまう。特に、全然違う相手を特定してしまいながらも罰せられないというのはやはり問題だろう。ただ、少年事件でも凶悪なのは名前を出されても仕方がないと思っているけれどね。少年法はどんどん改正されているけれども、まだまだ不備があると思ってしまう。
 一部で加害者の刑が確定するまで実名を報道しないという案もあるけれど(本書にはない)、それも検証ができなくなるという点ではやはり問題だよな……。
 結局、人の意識が変わるしかないかな。マスコミも少しは手助けしろよと言いたい。人の不幸で飯を食っているのだから。

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