伊達邦彦全集4(光文社文庫)
『日銀ダイヤ作戦』



【初版】1997年4月20日(改版)
【定価】590円+税
【解説】野崎六助


【収録作品】

作品名
『日銀ダイヤ作戦』
初 出
 『プレイコミック』(秋田書店)1969年5月10日号〜1970年5月9日号連載。1970年8月、カッパ・ノベルスより刊行。
粗 筋
 日銀の地下大金庫に眠る時価250億円のダイヤを、マフィアが狙っている! もし、共産側にダイヤが流出すれば、ミサイルの心臓部に使われてしまう。
 英国情報部の破壊活動版員・伊達邦彦が、強奪作戦を阻むため、帰国した。彼は、マフィアに乗り込み、日銀襲撃に加わると申し出るが…!?
 永遠のヒーロー伊達邦彦が活躍する、アクション界の傑作!
(粗筋紹介より引用)
感 想
 伊達邦彦は日本に帰ってきた。肩書きは英国外務省一等書記官フィリップ・ブラウン。今回の任務は日銀の地下第二金庫に眠っている戦時中の接収ダイヤの残量16万1千カラット、時価250億円を狙うマフィアの計画を阻止することだ。命令を拒む自由のない邦彦は、殺人の時効が成立するまでまだ5年以上を必要とする日本に帰ってきたのだ(蛇足:これは大藪の勘違い。指名手配犯が海外逃亡していた場合、時効年数にはカウントされない。よって邦彦の場合、指名手配されてすぐ海外逃亡しているため、時効にはまるまる15年を必要とする)。しかし英国外務省情報部海外第三課の東京出張所長パーキンスから受けた命令は、マフィアと共にダイヤを盗み、それをヨーロッパ最大の闇ダイヤブローカーへ売り渡す瞬間に逮捕することだった。しかし、日銀ダイヤを巡ってCIAや中国の工作員も日本へ潜入し、派手に作戦が展開されていた。邦彦はマフィアの一員となることに成功し、ダイヤ強奪計画に参加する。
 原型は短編「汚れた宝石(ダイヤ)」(第5巻『優雅なる野獣』に収録)。邦彦が日本に帰ってきたという以外、それほど見るべき所はない作品。とにかく結末のマフィア、CIA、ソ連、中国の工作員が入り乱れるシーンは、ただ目まぐるしいだけに過ぎない。だからこそ、最後にきっちりと取り分を手に入れて生き残る伊達邦彦に違和感を覚えるのだ。
 軽い整形手術を受けたとはいえ、指名手配写真が出回っている日本で何も指摘されないことが不思議だし、マフィアが邦彦を仲間に入れてしまうところもやはりどうかと思う。結末の駆け足ぶりは、大藪の悪い癖そのもの。連載誌が青年向けコミックス誌ということがあるかも知れないが、派手すぎる展開はどうにかならなかったものか。都合よすぎるだけの作品である。
備 考
 『日銀ダイヤ作戦』は元々1994年4月に光文社文庫から出版されている。そのため、本書だけはカバーを全集の形式に変えただけの改版として、1997年4月に出版された。

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