小栗虫太郎全作品(沖積社)



【小栗虫太郎】
 1901年3月4日、東京都神田生まれ。本名栄次郎。1913年京華中学に入学するが、このころから外国語や映画、文学に対する関心が芽生え、英語、フランス語を身につけたほか、映画館にもしょっちゅう出入りするようになった。18年京華中学を卒業して樋口電機紹介に入社したが、23年父親の遺産を元手に四海堂印刷所を設立して独立した。最初は順調だったが、文学に熱が入りすぎ、次第に経営が苦しくなり、ついに26年には、店をたたむはめになった。その4年間に『紅殻駱駝の秘密』『魔童子』「源内焼六術和尚」などの長短編を書き貯めており、そのうちの1つである短編「ある検事の遺書」を、27年織田清七名義で「探偵趣味」の10月号に発表している。
 甲賀三郎の紹介で、『新青年』1933年7月号に小栗虫太郎名義で短編「完全犯罪」を発表。以後、独特の尾かるティズムとペダントリーを駆使した作品を発表し続ける。1935年、長編『黒死館殺人事件』を発表。1939年からはSF冒険小説である「人外魔境」シリーズを発表し、人気を集めた。
 41年11月から42年の暮れまで、陸軍報道班員としてマレーに渡る。終戦とともに、自ら「社会主義探偵小説」と名付けた長編『悪霊』を連載する予定だったが、脳出血のため、46年2月10日死去。『悪霊』は22枚執筆しただけで未刊に終わった。
(『日本ミステリー事典』(新潮社)より一部抜粋)


【小栗虫太郎全作品】
 1996〜1998年出版。1979年に桃源社から出版された「小栗虫太郎全作品」全9巻と同内容。


巻 数 タイトル 初 版 収録作品
第1巻 紅殻駱駝の秘密
『紅殻駱駝の秘密』
『女人果』
第2巻 完全犯罪
「完全犯罪」
「寿命帳」
「白蟻」
『魔童子』
『青い鷺』
「海峡天地会」
第3巻 黒死館殺人事件
『黒死館殺人事件』
第4巻 二十世紀鉄仮面
『二十世紀鉄仮面』
「後光殺人事件」
「聖アレキセイ寺院の惨劇」
「夢殿殺人事件」
「失楽園殺人事件」
「オフェリヤ殺し」
「潜航艇「鷹の城」」
「人魚謎お岩殺し」
第5巻 成吉思汗の後宮
「海螺斎沿海州先占記」
「巴奈馬朋次郎記」
「極東」
「成吉思汗の後宮」
「新疆」
「紅軍巴蟆を越ゆ」
「金字塔四角に飛ぶ」
「破獄囚「禿げ鬘」」
「皇后の影法師」
「白夜」
「ナポレオン的面貌」
第6巻 人外魔境
「有尾人」
「大暗黒」
「天母峰」
「「太平洋漏水孔」漂流記」
「水棲人」
「畸獣楽園」
「火礁海」
「遊魂境」
「第五類人猿」
「地軸二万哩」
「死の番卒」
「伽羅絶境」
「アメリカ鉄仮面」
第7巻 屍体七十五歩にて死す
「或る検事の遺書」
「W・B・会綺譚」
「石神夫意人」
「絶景万国博覧会」
「折鶴物語」
「童女開眼」
「紅毛傾城」
「源内焼六術和尚」
「倶利伽羅信号」
「地虫」
「屍体七十五歩にて死す」
「魔氷」
「咳をする兎」
「国なき人々」
「爆撃鑑査写真七号」
「賭博者」
「地中海」
第8巻 航続海底二万哩
「方子と末起」
「岳太郎出陣」
「一週一夜物語」
「颱風」
「美しき鱒」
「紅い喇嘛仏」
「司馬氏の静養」
「南海の鯱」
「月と陽と暗い星」
「三文歌舞伎」
「人胆質入裁判」
「海狼白夜を行く」
「開花日棉譚」
「金胃人」
「南印度洋の悲歌」
「奇獄囚」
「ビルマ亀」
「新宝島綺譚」
「翼ある運河」
「パンテレリア島覆没陰謀」
「颶風グヮムにあり」
「航続海底二万哩」
第9巻 成層圏魔城
「暗黒星」
「ウクライナの女密使」
「熱海魔」
「ベーリング海底隧道」
「深海の囚虜」
「南東貿易風」
「北洋の守り星」
「椰糖垂範記」
「南印度苦力」
「その前夜」
「ソロモンの南」
「会議派殿下」
『成層圏魔城』
「マライ西遊記」
「冥府の鶏」
「悪霊」
「赤馬旅館」


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