作品名 | 逢う時は死人 |
初 出 | 『推理ストーリー』1962年9月号掲載。大神卓名義で発表。 |
粗 筋 |
弟が横領して自殺したのは誤りである。弟の死因をつくった女性を探してほしいと探偵事務所に来た姉の依頼を断りきれず、私は個人的に仕事を引き受け、休日を利用して捜査に乗り出す。
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感 想 |
最後の姉の言葉は印象的だが、それ以外は特に残る物はない。
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備 考 |
発表当時の名義である大神卓は、主人公の名前。
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作品名 | 公平について |
初 出 | 『推理小説研究』1965年11月号 |
粗 筋 |
窃盗で捕まった常習犯は、公判でとんでもない嘘をつく。三幕の法廷コント。
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感 想 |
解説で横井司がヘンリ・セシルを思わせると書いているが、なるほどと思った。まあ、被告側が判事に矢来裁判長を指定するなど、日本では有り得ない話であることは間違いないんだが。
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備 考 |
『推理小説研究』は、日本推理作家協会が発行する機関紙。
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作品名 | 雲の中の証人 |
初 出 | 『推理界』1968年9月号 |
粗 筋 |
3200万円強盗殺人事件で捕まった男の無実をはらさなければならない。状況証拠では絶対不利な状況を覆すために、探偵社から出向してきた大神卓は、北弁護士に雲をつかむような証人さがしを命じられた。期間はわずか10日間。
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感 想 |
この作品のように、人を食ったような設定がこの人の持ち味の一つなのだろうと思う。ちょっと呆気にとられるような状況で、どのような解決を見せるか。そこまでのコミカルなやり取りが面白いといえば面白い。ただね、この人は短編より長編の方が、持ち味を出し切ったんじゃないだろうか。本作品は中編だが、何となく中途半端で終わっている気がするんだよね。もっと書くことができたんじゃないか、みたいな。
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備 考 |
裁判の判事として、前作の矢来が再登場する。
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作品名 | 赤い鴉 |
初 出 | 『推理界』1968年12月号 |
粗 筋 |
家族から馬鹿にされ続け、排除された男は、一家七人殺しの被告が一過性精神障害で無罪となった犯罪記録を思い出し、一家皆殺しの計画を立てる。
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感 想 |
この作品も北弁護士が登場。最初に登場する「私」は、おそらく大神。仕掛けそのものはありきたりなものだが、主人公の悲惨な境遇が物語に深みを与えている。
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備 考 |
作品名 | 私が殺した私 |
初 出 | 『推理文学』1970年1月号 |
粗 筋 |
酒に酔った帰り道、大学教師の男は車を避けようとした小肥りの男とともに崖を転がり落ち、心が入れ替わってしまった。
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感 想 |
よくあるネタといってしまえばそれまでの作品。書かれた時代を考慮すべきか。
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備 考 |
作品名 | あたしと真夏とスパイ |
初 出 | 『推理界』1970年1月号 |
粗 筋 |
希望校には入れず、地方の大学に入って絶望状態だった私の前に現れた、すてきな助教授。一目惚れして、私生活を探ったところ、彼は別の名前で二重生活を送っていた。しかも理由はスパイだからと言う。女子大生の悲喜劇を書く。
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感 想 |
発表誌を考えると、なぜこのような青春ものを書いたのかが不思議。学生運動などの言葉が出てくるところは執筆当時の時勢を窺わせるものだが、若さと恋ゆえの暴走ぶりが楽しく、そして哀しい作品になっている。
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備 考 |
作品名 | 或る殺人 |
初 出 | 『推理文学』1970年4月号 |
粗 筋 |
酔っ払った土工夫による単純な傷害致死事件。しかし裁判官の評決で利け者の中川判事は、真犯人が他にいることを指摘した。
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感 想 |
裁判長が裁判後にマスコミの取材を受け、真犯人を指摘するというトンデモ展開はさておこう。正直言って暗い作品だし、解説の言う「一筋の光明」というのがどこにあるのかわからなかった。
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備 考 |
作品名 | 鉄段 |
初 出 | 『推理文学』1970年4月号 |
粗 筋 |
酒場の男が私に話したのは、しもたやの鉄階段が生きているという話。ショートショート。
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感 想 |
うーん、どこが面白いのかさっぱり分からない。
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備 考 |
作品名 | めだかの還る日 |
初 出 | 『推理文学』1972年4月号 |
粗 筋 |
人間どもが川へ踏み込んできたので、魚族は大慌て。王様達は新天地へ逃げだそうとした。ショートショート。
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感 想 |
風刺をこめた作品らしいのだが、狙いが今一つわかりにくいと思われる。 |
備 考 |