ジョン・ダニング『封印された数字』(ハヤカワ・ミステリ文庫)

 見知らぬ山中の洞窟と、そこに通じる崖道―差出人不明で届いた写真の光景を見ているうち、わたしは既視感にとらわれた。この感覚は20年近く前に参加した催眠実験と関係が?数日後、写真を見たわたしは催眠状態に陥ってしまう。そして無意識にマルタ十字と50、96、12という謎の数字を書いていた。やがてまたもや何者かから洞窟の写真が…ミステリ界に旋風を巻き起こした『死の蔵書』の作家が放つ話題のサスペンス小説。(粗筋紹介より引用)

 これが『死の蔵書』の作者のデビュー作なの? 読みづらいし、冒険小説なのに緊迫感が全くない。今まで訳されていなかった理由がわかりました。よく二作目であれだけ化けたもんだ。おまけになぜ最初に作者インタビューを持ってくる? ネタばらしに近いんじゃないか? ★☆。




谷崎潤一郎『潤一郎ラビリンス[ 犯罪小説集』(中公文庫)

「前科者」「柳湯の事件」「呪はれた戯曲」「途上」「私」「或る調書の一節―対話」「或る罪の動機」を収録。

 いやあ、美しい。惚れ惚れとしてしまいますね。文体こそ古いけれど、物語は美しい。是非とも読んでほしいですね。特に今更ながら『途上』。これは大傑作。この本が出る前から一体何回読んだか記憶無いけれども、この探偵小説の美しさは最近でもめったに見られないほどの出来。★★★★☆。




高田崇史『QED 百人一首の呪』(講談社ノベルス)

希代の天才・藤原定家が残した百人一首。その一枚を握りしめて、会社社長は惨殺された。残された札はダイイング・メッセージなのか?関係者のアリバイは証明され、事件は不可能犯罪の様相を呈す。だが、百人一首に封印された華麗なる謎が解けたとき、事件は、戦慄の真相を地上に現す!(粗筋紹介より引用)
 第9回メフィスト賞受賞作。

 百人一首が好きな人にはたまらないんでしょうねえ。なんか学術レポートを読まされている気分になりました。もう少し小説部分と絡んでくれると面白かったと思うんですが。興味がない人でも引っ張り込むほどの腕を新人に求めるのはちょっと辛いかな。廻りではかなり評判が良いんですが、私は駄目ですね。★★。