求刑死刑判決無期懲役【2013年】






事件概要
罪 状
判 決
判決理由
備  考
T・S(25)  住所不定、無職T・S被告は2011年8月7日午前5時15分頃、金品を奪う目的で、かつて仕事で訪問したことのある印刷会社役員の男性(当時64)方である広島市中区のお好み焼き店兼住宅に、無施錠の1階勝手口から室内に侵入。2階和室にいた男性とその妻でお好み焼屋経営の女性(当時61)を、台所にあった文化包丁(刃渡り約17cm)で刺して失血死させた。他に窃盗や詐欺の余罪が複数ある。 強盗殺人、窃盗、詐欺 2013年3月13日
広島地裁
伊名波宏仁裁判長
無期懲役
 裁判員裁判。弁護側は、迎合しがちな被告の性格や、記憶喪失は詐病ではないとする鑑定医の判断を踏まえ、「供述調書の任意性に疑いがある」などとして無罪を主張した。さらに、仮に有罪の場合でも、「事件当時は何らかの精神障害があった」として刑の減軽を求めた。
 裁判長は「黙秘権も通知された取り調べで犯行を認めた」として供述調書の任意性を肯定。現場に残された被害者の血の付いた足跡は被告が犯行時に付けたとして、犯人と認定した。そして「落ち度のない被害者に執拗に攻撃を加え、極めて悪質。死刑選択も考慮すべきだが、計画性は認められず、更生の可能性もないとは言えないことから極刑がやむを得ない場合には当たらない」と結論付けた。
 強盗致傷の前科がある。
2014年2月3日
広島高裁
木口信之裁判長
被告側控訴棄却
 弁護側は「解離性健忘により犯行当時の記憶がないのに、自白調書が完成しているのは信用性がない。捜査段階で犯行を認めた供述調書は刑事や検事が被告を誘導して作成した」と改めて無罪を主張したが、裁判長は「取り調べで供述拒否権は適切に告げられていた」と指摘。「調書の信用性を肯定し、犯人と認定した原判決の判断に誤りはない」と述べた。また解離性健忘の主張も退けた。
2014年9月17日
最高裁第二小法廷
鬼丸かおる裁判長
被告側上告棄却、確定



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