求刑死刑判決無期懲役【2018年】






事件概要
罪 状
判 決
判決理由
備  考
N・J(32)  ペルー国籍のN・J被告は2015年9月13日午後1時30分ごろ、意味不明の言葉を発していたことから熊谷署に任意同行されるも、隙を見て逃走。N・J被告は9月14日午後5時ごろ、熊谷市内の夫婦(当時55、53)方に侵入し、奪った包丁で二人を殺害。乗用車とスマートフォン1台、現金約9,000円などを奪った。15日、奪われた車が近くの駐車場で見つかった。熊谷署は防災無線による注意喚起を口頭で市教委に要請したが、防災無線による注意喚起は、所管する市安心安全課に文書で要請することになっていたたため、注意喚起は行われなかった。
 9月15〜16日、ナカダ被告は最初の殺人現場から約1km離れた独り暮らしの女性(当時84)方に無施錠の1階窓から強盗目的で侵入し、1階和室で女性の腹部を数回、突き刺すなどして殺害し、新たに包丁を奪ったほか、遺体を風呂場の浴槽に入れ、蓋などをかぶせて隠した。16日、熊谷市の会社員方に無施錠の1階窓から侵入、1階トイレで妻(当時41)の胸を包丁で数回、突き刺すなどして殺害して、敷毛布をかけて1階クローゼットに隠す一方、学校から帰宅した小学5年の長女(当時10)、小学2年の次女(当時7)を2階寝室で切りつけて殺害、2人の遺体を2階クローゼットに隠した。
 16日午後5時半ごろ、西に約100m離れた民家の扉が開いたままで中に声をかけても返答がなかったため、裏に回り込んだところ、2階の窓から顔を出し、自分の腕を刃物で刺しているナカダ被告を見つけた。ナカダ被告は間もなく2階の窓から飛び降り、頭の骨を折るなどの一時意識不明の重体となって深谷市内の病院に運ばれた。
強盗殺人、住居侵入、住居侵入 2018年3月9日
さいたま地裁
佐々木直人裁判長
死刑
 裁判員裁判。判決は、現場から被告とDNA型が一致する唾液などが検出されていることから3件の強盗殺人罪などの成立を認めた。そして、犯行当時妄想があったとは認められるが、犯行を命令するような幻聴は認められないとして、責任能力と殺意を認定。一連の犯行については「金品を得ようとした一貫してまとまりのある行動」とし、殺害の状況についても「確実に死に至らしめる行為で、特段異常な点は認められない」と認定した。そして、「何ら落ち度のない6人もの生命が奪われた結果は極めて重大。死刑をもって臨むことがやむを得ない」と述べた
2019年12月5日
東京高裁
大熊一之裁判長
一審破棄・無期懲役
 控訴審で弁護側は「心神喪失状態だった」として改めて無罪を主張。弁護側の依頼で精神鑑定をした医師が出廷し「被告は事件当時(妄想によって)何かからの脅威を感じていた」と証言していた。
 裁判長は、Nが心神耗弱の状態だったと認定。法律上の減軽をした上で無期懲役が相当とした。


S・H(39)  長崎県対馬市の鉄工所経営、S・H被告は、2016年12月6日午前8時半頃から7日午前7時半頃までの間に対馬市内で、市内に住む漁業の男性(当時65)の頭部を金づちのような鈍器で多数回殴って殺害。遺体を男性宅に運び、男性宅で同居する二女で市営診療所職員の女性(当時32)の頭部を金づちのような鈍器で多数回殴って殺害した。そして、男性方にガソリンなどをまいて火を付け、木造2階建て住宅288m2を全焼させた。 殺人、現住建造物等放火 2018年3月27日
長崎地裁
小松本卓裁判長
無期懲役
 裁判員裁判。自白なし。検察側は男性が殺害された場所、時刻を特定できていない。犯行の目撃者はなく、凶器も見つかっていない。被告側は一貫して無罪を主張。
 裁判長は、火災現場のガソリン携行缶からSの掌紋が検出されたことなどから、犯人と認定。「虚偽の供述をしており、反省の態度や謝罪の姿勢は全くうかがえない」と非難した。一方で、男性と漁船の修理を巡るトラブルがあり「犯行に計画性がなく、口論となって、怒りに任せて殴った突発的な可能性も否定できない」などと死刑回避の理由を述べた。

2019年3月13日
福岡高裁
野島秀夫裁判長
検察・被告側控訴棄却
判決文「裁判所ウェブサイト」内のPDFファイルが開きます。リンク先をクリックする前に、注意事項をご覧下さい)
 裁判長は判決でSの指紋が放火に使われたガソリン缶に付着していたことなど、Sが犯人でなければ合理的に説明できない点が複数あったと認定し、無罪主張を退けた。一方で「突発的に犯行が行われた可能性は否定できない」として検察側の死刑求刑を退け、無期懲役が相当とした。
被告側上告中。
K・Y(25)  大阪府門真市の定時制高校生、K・Y被告は2016年10月19日午前4時ごろ、同市に住む大工の男性(当時43)宅に1階居間の窓ガラスをガスバーナーと冷却スプレーでくりぬき、侵入。2階で寝ていた男性の胸や背中を持ってきた短刀(刃渡り30cm)で約30か所刺して殺害した。また、長女(当時19)の左腕を切り付け、次女(当時17)の頭や背中など約15か所を切るなどした。さらに部屋から出てきた長男(当時15)ともみ合いになり、長男は左腕に短刀が貫通しながらもK被告を取り押さえた。子供3人は全治2週間〜6か月の重軽傷を負った。 住居侵入、殺人、殺人未遂、銃砲刀剣類所持等取締法違反 2018年4月13日
大阪地裁
浅香竜太裁判長
懲役30年
 裁判員裁判。Kの責任能力の有無が争点となった。裁判長は、過去の1人の殺害の裁判例を検討した上で、今回の事件は「死刑を選択するまでの具体的な根拠はない」と指摘し、仮に心神耗弱の状態を考慮しなくても死刑を適用せずに無期懲役とするケースだと付言した。その上で、「被告は統合失調症の影響で心神耗弱の状態だった」と判断し、有期刑の上限を選択した。
2019年5月20日
大阪高裁
村山浩昭裁判長
検察・被告側控訴棄却
判決文】(「裁判所ウェブサイト」内のPDFファイルが開きます。リンク先をクリックする前に、注意事項をご覧下さい)
 裁判長は一審同様、統合失調症の影響で心神耗弱状態だったとした。
2019年10月31日
最高裁第二小法廷
岡村和美裁判長
被告側上告棄却、確定

S・Y(39)  千葉県松戸市の不動産賃貸業で小学校の保護会長だったS・Y被告は、小学校の修了式だった2017年3月24日朝、自宅から登校中だった小学3年でベトナム国籍の少女(当時9)を軽乗用車で連れ去り、車内でわいせつな行為をしたうえ、何らかの手段で首を圧迫して窒息させて殺害。遺体を我孫子市の排水路の橋の下の草むらに遺棄した。
殺人、強制わいせつ致死、わいせつ目的略取・誘拐、死体遺棄 2018年7月6日
千葉地裁
野原俊郎裁判長
無期懲役
 裁判員裁判。被告は捜査段階では黙秘し、裁判では証拠は捏造であるなどと無罪を主張した。
 裁判長は被告側の主張を退け、遺体の腹部から検出された付着物のDNA型が被告と少女のものであるなどとした検察側の立証を支持。被告側の事件当日は釣りの下見に行ったなどの主張は、他の証言と一致せず信用できないと退けた。量刑については、計画性がないことと、殺害方法が他の事件と比べて特別残虐というわけではないとして、同種事案の量刑傾向を考慮しても無期刑が相当と判断した。

検察・被告側控訴中。


I・T(40)  横浜市の派遣社員、I・Tは2017年7月6日、中国籍で飲食店従業員の姉(当時25)と専門学校生の妹(当時22)が住む横浜市のマンションの一室に合鍵を使って侵入。姉妹の首を絞めて殺害後、布団圧縮袋に入れてキャリーバッグに詰め込み、7日に秦野市の山林に遺棄した。 殺人、死体遺棄、住居侵入 2018年7月20日
横浜地裁
青沼潔裁判長
懲役23年
 裁判員裁判。Iは偽装失踪の手助けを頼まれたIが、姉妹が自ら入ったスーツケースを運んだだけだと訴えて、無罪を主張した。
 裁判長は、Iの他に姉妹の部屋に出入りしていた者はおらず、第三者の介在はないと認定。一方、姉との交際のもつれからIに殺意が生じたと判断したが、Iと妹の間には確執はなく、姉の殺害後にその発覚を恐れ、とっさに殺意が生じたという想定もできると指摘した。そして、凶器が使われていないことから、過去の殺人罪の裁判員裁判の例を考慮すれば死刑や無期懲役の選択は困難と述べ、有期懲役刑の上限の23年を選択した。

2019年4月19日
東京高裁
中里智美裁判長
一審破棄、差し戻し
判決文「裁判所ウェブサイト」内のPDFファイルが開きます。リンク先をクリックする前に、注意事項をご覧下さい)
 量刑検索システムで類似事件での判決傾向を調べる際、一審では「殺人」「単独犯」「凶器なし」の条件でをつけて検索していたが、提示した判例は数例とみられ、すべて親族間での殺害事件だったことから、「経緯や動機にくむべき事情があることが多い親族間の事例と本件とは全く異なる類型」と判断。さらに、姉妹が相当な力で5分程度、首を圧迫されて殺害された点から「凶器を使う場合と比べて危険性に質的な違いはない」と指摘。高裁が凶器の有無を特定せず類似事件での量刑傾向を調べ直したところ、親族間の事例を除くと極刑か無期懲役刑が言い渡されていたとし、「量刑の認定や評価が甚だ不十分」と一審判決を破棄し、差し戻した。
被告側上告中。
O・T(40)  土木建設会社社長のO・Tは2014年8月15日午後3時頃から同6時15分頃の間、佐賀市の会社が管理する残土置き場で、在日韓国人で下関市の会社経営の男性(当時76)と知人で無職の女性(当時48)を呼び出し、ショベルのバケットを2人が乗った軽乗用車に振り下ろし、さらにバケットとキャタピラ走行用ベルトで車を挟み込み、穴まで引きずって落とした。穴に土砂を掛け続け、車外に出た男性と、車内にいた女性を生き埋めにして窒息死させた。 殺人、業務上横領 2018年8月6日
佐賀地裁
吉井広幸裁判長
無期懲役
判決文】(「裁判所ウェブサイト」内のPDFファイルが開きます。リンク先をクリックする前に、注意事項をご覧下さい)
 裁判員裁判。Oは黙秘し、弁護側は無罪を主張した。
 判決で裁判長は、犯行に使われた油圧ショベルの稼働記録やOの携帯電話の記録などから、「現場の近くにいた被告だけが犯行可能だった。被告以外が犯人ならば合理的な説明ができない」と認定した。Oが従業員に事前に穴を掘らせた行為も「犯行準備だった」とした。一方、男性から借金の返済を執拗に求められ、残土置き場で行っていた産業廃棄物の不法投棄を告発すると脅されていたと指摘。「極めて悪質とはいえず、死刑がやむを得ないとまではいい難い」として、死刑を回避した。

検察・被告側控訴中。


C・S(47)  兵庫県姫路市のパチンコ店運営会社の実質経営者であった、韓国籍のC・Sは部下のU・Tらと共謀。2009年4月に東京都世田谷区の広告会社社長を連れ出し、姫路市内などで1年2か月監禁した。8月には社長の部下をナイフで脅し、怪我をさせた。2010年8月30日、知人男性を拉致し、三木市内の貸倉庫に1か月監禁した。9月28日、姫路市内の元暴力団組員の作業員を車で拉致し、三木市内の貸倉庫に監禁したが、作業員は逃げ出した。2011年2月10日、以前逃げ出した男性(当時37)を連れ去り、首を絞めて殺害した。4月13日、姫路市内に住む暴力団組員で韓国籍の男性(当時57)を姫路市内のパチンコ店駐車場で拉致し、三木市内の倉庫まで運搬中、男性の口に粘着テープを張り付けるなどして窒息死させた。この男性の遺体は見つかっていない。 殺人、逮捕監禁致死、監禁傷害、恐喝、監禁、他 2018年11月8日
神戸地裁姫路支部
木山暢郎裁判長
無期懲役
 裁判員裁判。検察側は、東京都世田谷区の広告会社社長殺害容疑でも起訴した。ただし、社長については遺体も凶器とされる拳銃も見つかっていない。Cは全ての事件について無罪を主張した。
 裁判長は、社長殺害容疑については証拠がないことから無罪を言い渡したが、残り6件について有罪を認定した。
 実行役の上村隆被告は2019年3月15日、求刑通り死刑判決。社長殺害容疑についてもC被告の指示であることを認定している。
検察・被告側控訴中。




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