求刑無期懲役、判決有期懲役 2019年度





 2019年度に地裁、高裁、最高裁で求刑無期懲役に対し、有期懲役・無罪の判決が出た事件のリストです。目的は、無期懲役判決との差を見るためですが、特に何かを考察しようというわけではありません。あくまで参考です。
 新聞記事から拾っていますので、判決を見落とす可能性があります。お気づきの点がありましたら、日記コメントでご連絡いただけると幸いです(判決から7日経っても更新されなかった場合は、見落としている可能性が高いです)。
 控訴、上告したかどうかについては、新聞に出ることはほとんどないためわかりません。わかったケースのみ、リストに付け加えていきます。
 判決の確定が判明した被告については、背景色を変えています(控訴、上告後の確定も含む)。


【2019年度の求刑無期懲役、判決有期懲役・無罪判決】

氏 名
石田美実(61)
逮 捕
 2014年2月26日
殺害人数
 1名
罪 状
 殺人、窃盗、建造物侵入
事件概要
 鳥取県米子市の元ラブホテル従業員、石田美実被告は2009年9月29日午後10時ごろ、9月中旬まで働いていた米子市内のラブホテルの従業員事務所で金品を物色中、支配人の男性(当時54)に見つかり、頭を壁にぶつけたり、首をひも状のもので絞めたりして意識不明の重体に負わせ、現金約26万8千円を強奪した。
(以上は起訴罪状)
 鳥取県警は内部に詳しい人物の犯行とみたが、被害者の男性が意識を取り戻さないことから、慎重に捜査を続けた。
 その後トラック運転手をしていた石田被告は2014年9月5日、別のクレジットカード詐欺で逮捕された。鳥取県警は2014年2月26日、石田被告を強盗殺人未遂、建造物侵入の両容疑で再逮捕した。
 被害者の男性は暴行に基づく多臓器不全が基で2015年9月、60歳で死亡。鳥取地検は12月15日、石田被告について強盗殺人罪への訴因変更を地裁に請求。2016年2月15日付で認められた。
裁判所
 広島高裁 多和田隆史剛裁判長
求 刑
 無期懲役
判 決
 2019年1月24日 地裁へ差し戻し
裁判焦点
 2018年11月27日の差し戻し控訴審初公判で、弁護側は最高裁の判断には事実誤認の法令違反があるとして無罪を主張した。検察側は、一審鳥取地裁判決が認定した殺人と窃盗罪ではなく強盗殺人罪に当たると主張、結審した。
 判決で多和田裁判長は、「被告は金品を物色している姿をホテル事務所に戻った被害者に見とがめられ、口封じのため強盗殺人の犯行に及んだ」と述べ、「強盗殺人罪を認めなかった一審判決には明らかな事実誤認がある」と述べ、地裁へ差し戻した。
備 考
 2016年7月20日、鳥取地裁の裁判員裁判で、求刑無期懲役に対し、一審懲役18年判決。起訴罪状である強盗殺人を否定し、殺人と窃盗を適用した。2017年3月27日、広島高裁松江支部で一審破棄、無罪判決。2018年7月13日、最高裁第二小法廷で高裁差し戻し判決。

氏 名
石崎太(34)
逮 捕
 2018年7月29日
殺害人数
 1名
罪 状
 強盗致死、強盗致傷、住居侵入
事件概要
 栃木市の自称とび職、石崎太被告は、指定暴力団住吉会系組員、渡辺武久被告の指示を受け、仕事仲間である鹿沼市のとび職I被告に共犯者の紹介を依頼。紹介された宇都宮市の無職S被告とともに2018年5月13日午前0時〜1時30分ごろ、栃木市に住む男性(当時82)宅に押し入るも、同居の長男(当時59)に遭遇したため暴行した後、何も取らずに宇都宮市のとび職F被告が運転する車で逃走した。渡辺被告は知人の無職の女から、男性宅に現金があると知らされ、知人の石崎被告に犯行を指示した。
 再び渡辺被告に強盗を支持された石崎被告は、F被告に粘着テープなどを用意させたうえで、I被告から紹介された少年被告と共謀。7月26日午前0時ごろ、同じ家に押し入り、暴行して男性を死なせ、長男にも殴って重傷を負わせ、現金約30万3千円や預金通帳3冊を奪った。その後、F被告の運転する車で逃走した。
 県警栃木署捜査本部は7月29日、石崎被告と少年被告を強盗殺人他容疑で逮捕。8月7日、強盗殺人他容疑で渡辺被告を逮捕。9月5日、強盗致傷容疑で渡辺被告、石崎被告を再逮捕。S被告とF被告を強盗致傷他容疑で逮捕した。9月19日、強盗致傷幇助他容疑で無職の女性を逮捕。
裁判所
 宇都宮地裁 佐藤基裁判長
求 刑
 無期懲役
判 決
 2019年1月30日 懲役29年
裁判焦点
 裁判員裁判。
 2019年1月22日の初公判で、石崎太被告は「間違いない」と起訴内容を認めた。
 24日の論告で検察側は、「1回失敗したことを踏まえて新たに刃物などを持っていった計画的な犯行。他の実行犯に役割分担を指示をして主要な暴行を加えるなど、実行犯の中でも主導的な役割を果たした。奪った現金を指示役に黙って山分けするなど、金目当てだったのは明らか」と主張した。
 弁護側は最終弁論で、「本人は実行したくないと共犯者にこぼしていたが、指示役の暴力が怖くて絶対服従の関係にあった。報酬も犯行に見合う額ではなかった」と、分け前目当てを否定。「他の実行犯とは初対面などで上下関係はなく、主導的な立場ではなかった」とし、懲役20年への減軽を求めた。
 判決で佐藤裁判長は、計画的な上、同じ家に2度押し入り、事前に凶器を準備したり率先して暴行したり、主導して犯行を実行するなど「非常に悪質」と指摘。動機は「金を(指示役に渡さず)使っていることから、金目当てであることは明らか」とした。しかし、犯行を計画したのは指示役の渡辺武久被告で、逆らえなかった面もあることや、計画を知ったのは立案から数カ月後であり、罪を認め捜査にも協力的なことから、首謀者と比べれば責任は軽く、求刑された無期懲役でなく有期刑が相当とした。
備 考
 強盗致死罪などに問われた宇都宮市の無職少年(事件当時19)は2019年1月18日、宇都宮地裁(佐藤基裁判長)で懲役8年以上15年以下(求刑懲役10年以上15年以下)判決。犯行に参加したのは友人のためで金品目的ではなく、共犯者内での立場も最も従属的なものだったと認定された。控訴せず、確定。

 被告側は控訴した。2019年7月23日、東京高裁で被告側控訴棄却。(おそらく)上告せず確定。

氏 名
宮口義弘(59)
逮 捕
 2016年4月15日
殺害人数
 1名
罪 状
 傷害致死(起訴は強盗殺人)、死体遺棄
事件概要
 埼玉県春日部市の不動産コンサルタント・宮口義弘被告は約200万円の借金返済を免れるため、単独または氏名不詳者と共謀して2016年2月3日頃、春日部市に住む知人の無職男性(当時73)を窒息させて殺害し、遺体を自分の車の荷台に隠した。5日頃、遺体を群馬県藤岡市の空き地に埋めた。(以上は起訴内容)
 男性は一人暮らしで、2月5日に福祉関係者が訪ねたが、室内に姿がなく、連絡を受けた男性の長男が2月12日、春日部署に行方不明者届を提出。埼玉県警は事件に巻き込まれた可能性があるとみて捜査を開始。交友関係から宮口被告に話を聞いたが、説明に不審な点があったため、関係先を捜査したところ、藤岡市の空き地に掘り返した場所があり、地表に手が出ているのを4月8日に捜査員が発見。県警は15日、宮口被告を死体遺棄容疑で逮捕した。6月9日、強盗殺人容疑で再逮捕。
裁判所
 東京高裁 栃木力裁判長
求 刑
 無期懲役
判 決
 2019年2月8日 一審破棄、地裁差し戻し
裁判焦点
 2019年1月18日、控訴審初公判。検察、被告双方が控訴していた。
 地裁は実質的な審理が終わった後、検察側に対し、起訴内容を「単独犯」から「氏名不詳者と共謀」した可能性を含めたものに変更するよう促した。弁護側は審理再開を請求したが、地裁は認めないまま、変更後の事実で有罪と判断していた。
 判決で栃木裁判長は、一審の裁判官が証拠調べ終了後、検察官に単独または氏名不詳者との共謀による犯行とするよう訴因変更を促したうえで変更を許可した一方、弁護人の弁論再開請求を却下したと指摘。「弁護人の反証の機会を奪うもので極めて不当」と非難。審理をやり直す必要があると結論付けた。
備 考
 2018年2月6日、さいたま地裁の裁判員裁判で一審懲役10年判決(求刑無期懲役)。強盗殺人の成立を認めず、傷害致死を適用した。上告せず、差し戻し確定。2020年1月8日、さいたま地裁の差し戻し裁判員裁判で求刑通り一審無期懲役判決。

氏 名
池谷佳峰(34)
逮 捕
 2016年4月22日
殺害人数
 3名
罪 状
 殺人、殺人未遂
事件概要
 静岡県浜松市の会社員、池谷佳峰(いけや よしたか)被告は2016年4月22日午前0時25分ごろ、自宅で眠っていた祖母(当時83)、姉(当時32)をサバイバルナイフで刺して殺害。午前3時ごろ、経営していたスナックでの仕事を終えて帰宅した母(当時62)を殺害し、父(当時60)の腰などを刺して殺害しようとした。
 池谷被告は父ともみ合いになり、ナイフを取り上げられたため、台所の包丁で自らの腹部を刺したが死にきれず、自宅から車で逃走したが、天竜浜名湖鉄道の金指駅付近で単独事故を起こした後、徒歩で逃走。午前3時10分頃、父親が110番通報。約4時間後、約3.5km離れた住宅街で池谷被告が発見され、同署は父親への殺人未遂の疑いで緊急逮捕した。5月12日、3人への殺人容疑で再逮捕した。
 池谷被告は、勤めていた磐田市の自動車部品製造会社で同僚が作業手順を守っていないことを上司に報告。これをきっかけに、同僚らから悪口を言われていると感じるようになり、4月13日と15日に上司に退職を申し出た。しかし、退職を認めてもらえず、4月18日以降、病院の精神科を受診するという理由で休職となった。20日にインターネットで刃渡り23cmのサバイバルナイフを購入。犯行前日の21日に自宅で父親と鉢合わせをした際に驚いた顔をされたことから、会社の上司が父に自身の悪口を伝えたと思い込み、職場の現状を家族に知られる前に殺害に踏み切ろうと犯行への決意を固めた。
 静岡地検浜松支部は池谷被告の鑑定留置を浜松簡裁に5月26日付で請求して認められた。
裁判所
 東京高裁 朝山芳史裁判長
求 刑
 無期懲役
判 決
 2019年5月20日 懲役25年(一審破棄)
裁判焦点
 2018年2月20日の控訴審初公判で、弁護側は責任能力の認定に誤りがあるなどとする控訴趣意書を提出した。検察側は「精神鑑定は不必要でやむを得ない事由はない」などと述べ、控訴棄却を求めた。朝山裁判長は弁護側の請求に基づき、精神鑑定の実施を決めた。
 2019年1月24日の第2回公判で、高裁が指定して精神鑑定を実施した精神科医の証人尋問が行われた。池谷被告が事件当時発症していた妄想性障害について、精神科医は「家族を殺害する動機につながった」などと述べ、犯行に一定程度影響を与えたとの認識を示した。捜査段階で精神鑑定を行った別の医師は妄想性障害の影響では犯行の説明がつかないと一審で証言していた。一審判決では犯行動機の形成について、鑑定結果に基づき、「元来の人格や性格に基づくものと推測される」と認定したが、精神科医は「人格で説明できるのかははっきりしない」と述べた。
 3月12日の公判で、検察側は控訴棄却を求めた。弁護側は職場のトラブルが原因の妄想性障害だったと訴え、「事件当時は心神喪失状態だった」と無罪を主張し、心神喪失が認められない場合は「心神耗弱だった」として懲役14年が相当と主張して結審した。
 判決で朝山裁判長は、争点となった被告の責任能力に関して、「被告は職場でいじめに遭っているという被害妄想を抱き、家族にも被害が及んでいるとの妄想を募らせ、苦痛と絶望感が増した結果、犯行に及んだ」と妄想性障害による被害妄想の影響を挙げ「行動制御能力が著しく減退した状態にあった」と判断。犯行動機については「被害妄想が大きく影響し、人格や性格からは説明困難」と述べた。量刑は心神耗弱の状態や被害者の父親が厳罰を望んでいない点などを考慮した一方、結果の重大性や一定の計画性などを認め、弁護側が主張する心神喪失状態にはないと結論づけた。
備 考
 2017年7月21日、静岡地裁浜松支部の裁判員裁判で求刑通り一審無期懲役判決。被告側は上告した。2019年9月4日、被告側上告棄却、確定。

氏 名
少年(18)
逮 捕
 2018年3月2日
殺害人数
 1名
罪 状
 強盗致死、住居侵入
事件概要
 千葉県茂原市の無職少年C被告(当時17)は、同市内のアパートで同居する土木作業員の少年A被告(事件当時18)、無職少年B(当時18)と共謀。2018年2月26日午前1時15分ごろ、同市に住む女性(当時85)宅に侵入。寝室で女性を床に押し倒して殴ったり首を絞めるなどして現金約12,000円を盗み、包丁で首を3回刺して殺害した。
 女性は長女と同居していたが入院したため1人で生活。近くに住む長男夫婦が頻繁に訪れていた。
 26日午前8時55分ごろ、長男の妻が倒れている女性をみつけ、119番通報。3月2日、捜査本部は少年3人を強盗殺人と住居侵入の疑いで逮捕した。
 千葉地検は3月19日、少年A被告と少年Cを千葉家裁に送致した。同家裁は同日、2週間の観護措置を決定した。23日、少年Bを千葉家裁に送致した。家裁は同日、2週間の観護措置を決めた。4月3日までに千葉家裁は少年A被告に対し、2週間の観護措置延長を決定した。千葉地検は同日、少年Bと少年Cを別の窃盗事件で再逮捕した。千葉家裁は4月13日、少年A被告を検察官送致(逆送)とする決定をした。千葉地検は20日、強盗殺人罪などで少年A被告を起訴した。
 県警捜査3課は6月7日、茂原市を中心に2017年12月〜2018年3月に相次いだ窃盗事件約50件に関与したとして、少年B、少年Cを含む同市などの17〜19歳の少年5人を窃盗などの容疑で逮捕・送検したと発表した。そのうち少年Bと少年Cは事件前日の2月25日未明から早朝にかけて、盗み目的で女性方に侵入し金品を物色していた。千葉家裁は6月29日、少年Bと少年Cを検察官送致(逆送)とする決定を出した。千葉地検は7月6日、少年Bと少年Cを強盗殺人や住居侵入などの罪で起訴した。
裁判所
 千葉地裁 川田宏一裁判長
求 刑
 無期懲役
判 決
 2019年5月31日 懲役20年
裁判焦点
 裁判員裁判。
 2019年5月20日の初公判で、少年C被告は「2人の少年との間で殺人の共謀はありませんでした」と述べ、殺意を否定した。
 冒頭陳述で検察側は、被害者が「金は腹の中にある」「殺すなら殺せ」と話したことから、C被告が少年A被告に対し「じゃあ、殺す?」と発言したと指摘。少年A被告が首を絞め、その後少年B被告に挑発されて殺害を実行し、「C被告は2人のやり取りを見ていたのに制止しなかった」として、殺人の共謀が成立するとした。弁護側は、C被告の発言に他の2人から反応はなかったとし「2人のやり取りをぼうぜんと見ていただけに過ぎない。帰ることを促していた」と殺害への関与を否定。強取した金は1万円だったとした。
 同日、A被告が出廷し、当時の状況を証言。被害者の首に手を押し当てている際に「手が疲れたのでC被告に代わってもらおうと頼んだら、左手で力を入れて5、6秒首を絞めていた」と明かした。強盗を計画した時に「何だったら殺しちゃえよ」と言われたとも述べた。
 24日の論告で検察側は、C被告が殺害を実行したA被告に向けて「じゃあ、殺す?」と発言したことが、殺害のきっかけとなったと指摘。事件前に「何だったら殺しちゃえよ」とも述べていたとして「自らの手は汚さず暴行させ、場合によっては殺害も構わないと思っていた」と批判した。  また、土木作業員の少年に代わって被害者の首を手で絞めたとして「怒りにまかせた行為で殺意があった」と述べた。
 同日の最終弁論で弁護側は最終弁論で、「じゃあ、殺す?」との発言について「被害者が“殺すなら殺せ”と言ったので思わず発したもの。直後に殺害行為もしておらず、ほかの2人も反応していない」と殺害の共謀を否定。首を絞めたとされることは「(証言したA被告が)これまで自身の裁判などで話しておらず、信用できない」と反論した。そして強盗致死罪にとどまるとして、少年法に基づき懲役10〜15年の不定期刑が妥当と訴えた。
 判決で川田裁判長は「殺すなら殺せ」と発言した女性にC被告が返した「じゃあ、殺す」の言葉は「売り言葉に買い言葉」で、自然な流れで出たものと指摘。仲間を止めなかったのも年下の立場上、「制止しにくい関係にあった」との可能性を示し、殺人について「共謀していなかった」と判断して適用せず、強盗致死を適用した。量刑理由では「落ち度のない被害者の死という結果は誠に重く、遺族が厳しい処罰感情を抱くのも当然」と説明。無期懲役が相当としながらも、犯行時の年齢や殺害行為に関与していないことを挙げ、少年法の適用で有期懲役刑として「その最上限の刑に処するのが相当」と述べた。
 判決言い渡し後、川田裁判長は被告少年に「今回犯した事件に向き合い、自分にできることをずっと考えていってほしい」と説諭した。
備 考
 少年A被告は2019年1月24日、千葉地裁(川田宏一裁判長)の裁判員裁判で求刑通り一審無期懲役判決。被告側控訴中。

 被告側は控訴した。2019年10月28日、東京高裁で被告側控訴棄却。2020年6月までに上告棄却、もしくは上告取り下げで確定。

氏 名
佐賀慶太郎(53)
逮 捕
 2016年10月25日
殺害人数
 1名
罪 状
 殺人、死体損壊・遺棄
事件概要
 埼玉県川口市の無職、佐賀慶太郎被告は2016年9月16〜17日頃、東京都目黒区に住む元交際相手で会社員の女性(当時24)を、女性の自宅マンションでオートロックをかいくぐって帰宅を待ち伏せ、女性が会社から帰ってきたときにいっしょに部屋に入り込むも、女性になじられて逆上。女性を何らかの方法で殺害。浴室で包丁などを用い遺体を切断し、千葉、埼玉両県や東京都内の川などに捨てた。
 女性は2014年に広島県から上京。昼はキックボクシング選手を夢見て練習、夜は川口市の飲食店でアルバイトをしていた。2015年11月、客として訪れた佐賀被告と知り合う。佐賀被告は妻帯者であったが付き合うようになり、2015年3月まで東京都大田区のマンションで同棲。佐賀被告は4月に妻に離婚を継げるが、女性は佐賀被告と別れ、5月に目黒区のマンションに引っ越した。佐賀被告は女性に付きまとうようになり、7月16日に埼玉県川口署は女性に対する暴行容疑で逮捕。川口署は女性の自宅がある警視庁目黒署へ連絡し、女性は23日に同署を訪れた。佐賀被告は罰金10万円の略式命令を受け、川口署は佐賀被告を釈放し、女性に接触しないとする誓約書を提出させた。目黒署は女性に住居や連絡先を変更するように指導。佐賀被告は8月3日、女性に交際時に支払われた200万円を請求し、ふたたび付きまとうようになった。目黒署は8月にも警戒を要請するも、女性は引っ越し代を工面できないと話した。佐賀被告が以前のアルバイト先を訪れたことを知った女性は9月12日、目黒署に相談。目黒署は実家やホテルなどへの避難を要請するも、連絡はその後途絶えた。
 9月20日ごろ、女性の安否確認が取れないと勤務先の会社から目黒署に連絡があった。10月25日、警視庁捜査1課は佐賀被告を死体遺棄容疑で逮捕した。女性の遺体は見つかっていない。
裁判所
 東京高裁 栃木力裁判長
求 刑
 無期懲役
判 決
 2019年7月10日 懲役29年(被告側控訴棄却)
裁判焦点
 被告側は控訴審で、一審と同様に殺害を否定。女性が死亡した経緯について、「女性ともみ合いになり、女性宅にあったナイフが誤って刺さった」と主張したが、栃木裁判長は、被告が事件前、遺体の処理に必要な道具などをメモしていたことなどから、「被告による殺害は十分認定できる」とした。
備 考
 東京地裁は、被害女性の氏名や住所を法廷で明らかにしない秘匿決定を行っている。

 2018年12月14日、東京地裁の裁判員裁判で求刑無期懲役に対し一審懲役29年判決。被告側は上告した。2019年10月23日、被告側上告棄却、確定。

氏 名
石崎太(35)
逮 捕
 2018年7月29日
殺害人数
 1名
罪 状
 強盗致死、強盗致傷、住居侵入
事件概要
 栃木市の自称とび職、石崎太被告は、指定暴力団住吉会系組員、渡辺武久被告の指示を受け、仕事仲間である鹿沼市のとび職I被告に共犯者の紹介を依頼。紹介された宇都宮市の無職S被告とともに2018年5月13日午前0時〜1時30分ごろ、栃木市に住む男性(当時82)宅に押し入るも、同居の長男(当時59)に遭遇したため暴行した後、何も取らずに宇都宮市のとび職F被告が運転する車で逃走した。渡辺被告は知人の無職の女から、男性宅に現金があると知らされ、知人の石崎被告に犯行を指示した。
 再び渡辺被告に強盗を支持された石崎被告は、F被告に粘着テープなどを用意させたうえで、I被告から紹介された少年被告と共謀。7月26日午前0時ごろ、同じ家に押し入り、暴行して男性を死なせ、長男にも殴って重傷を負わせ、現金約30万3千円や預金通帳3冊を奪った。その後、F被告の運転する車で逃走した。
 県警栃木署捜査本部は7月29日、石崎被告と少年被告を強盗殺人他容疑で逮捕。8月7日、強盗殺人他容疑で渡辺被告を逮捕。9月5日、強盗致傷容疑で渡辺被告、石崎被告を再逮捕。S被告とF被告を強盗致傷他容疑で逮捕した。9月19日、強盗致傷幇助他容疑で無職の女性を逮捕。
裁判所
 東京高裁 後藤真理子裁判長
求 刑
 無期懲役
判 決
 2019年7月23日 懲役29年(被告側控訴棄却)
裁判焦点
 弁護側は「兄貴分だった首謀者の指示に逆らえなかった」と量刑不当を主張したが、後藤裁判長は「実行犯の中で主導的な役割を果たした」と退けた。そして「態様は悪質で生じた結果は極めて重大」とした。
備 考
 強盗致死罪などに問われた宇都宮市の無職少年(事件当時19)は2019年1月18日、宇都宮地裁(佐藤基裁判長)で懲役8年以上15年以下(求刑懲役10年以上15年以下)判決。犯行に参加したのは友人のためで金品目的ではなく、共犯者内での立場も最も従属的なものだったと認定された。控訴せず、確定。
 強盗致傷罪などに問われたS被告は2019年3月18日、懲役7年判決(求刑懲役8年)。控訴するも取り下げ、確定。
 強盗致傷幇助罪などに問われたF被告は2019年5月16日、懲役2年6月・執行猶予4年判決(求刑懲役3年)。おそらく控訴せず確定。
 強盗致傷幇助罪などに問われたI被告は2019年10月11日、懲役6年判決(求刑同)。同年11月7日、控訴取下げ、確定。
 2019年1月30日、宇都宮地裁の裁判員裁判で求刑無期懲役に対し一審懲役29年判決。(おそらく)上告せず確定。

氏 名
池谷佳峰(34)
逮 捕
 2016年4月22日
殺害人数
 3名
罪 状
 殺人、殺人未遂
事件概要
 静岡県浜松市の会社員、池谷佳峰(いけや よしたか)被告は2016年4月22日午前0時25分ごろ、自宅で眠っていた祖母(当時83)、姉(当時32)をサバイバルナイフで刺して殺害。午前3時ごろ、経営していたスナックでの仕事を終えて帰宅した母(当時62)を殺害し、父(当時60)の腰などを刺して殺害しようとした。
 池谷被告は父ともみ合いになり、ナイフを取り上げられたため、台所の包丁で自らの腹部を刺したが死にきれず、自宅から車で逃走したが、天竜浜名湖鉄道の金指駅付近で単独事故を起こした後、徒歩で逃走。午前3時10分頃、父親が110番通報。約4時間後、約3.5km離れた住宅街で池谷被告が発見され、同署は父親への殺人未遂の疑いで緊急逮捕した。5月12日、3人への殺人容疑で再逮捕した。
 池谷被告は、勤めていた磐田市の自動車部品製造会社で同僚が作業手順を守っていないことを上司に報告。これをきっかけに、同僚らから悪口を言われていると感じるようになり、4月13日と15日に上司に退職を申し出た。しかし、退職を認めてもらえず、4月18日以降、病院の精神科を受診するという理由で休職となった。20日にインターネットで刃渡り23cmのサバイバルナイフを購入。犯行前日の21日に自宅で父親と鉢合わせをした際に驚いた顔をされたことから、会社の上司が父に自身の悪口を伝えたと思い込み、職場の現状を家族に知られる前に殺害に踏み切ろうと犯行への決意を固めた。
 静岡地検浜松支部は池谷被告の鑑定留置を浜松簡裁に5月26日付で請求して認められた。
裁判所
 最高裁第三小法廷 林景一裁判長
求 刑
 無期懲役
判 決
 2019年9月4日 懲役25年(被告側上告棄却、確定)
裁判焦点
 
備 考
 2017年7月21日、静岡地裁浜松支部の裁判員裁判で求刑通り一審無期懲役判決。2019年5月20日、東京高裁で一審破棄、懲役25年判決。

氏 名
佐賀慶太郎(53)
逮 捕
 2016年10月25日
殺害人数
 1名
罪 状
 殺人、死体損壊・遺棄
事件概要
 埼玉県川口市の無職、佐賀慶太郎被告は2016年9月16〜17日頃、東京都目黒区に住む元交際相手で会社員の女性(当時24)を、女性の自宅マンションでオートロックをかいくぐって帰宅を待ち伏せ、女性が会社から帰ってきたときにいっしょに部屋に入り込むも、女性になじられて逆上。女性を何らかの方法で殺害。浴室で包丁などを用い遺体を切断し、千葉、埼玉両県や東京都内の川などに捨てた。
 女性は2014年に広島県から上京。昼はキックボクシング選手を夢見て練習、夜は川口市の飲食店でアルバイトをしていた。2015年11月、客として訪れた佐賀被告と知り合う。佐賀被告は妻帯者であったが付き合うようになり、2015年3月まで東京都大田区のマンションで同棲。佐賀被告は4月に妻に離婚を継げるが、女性は佐賀被告と別れ、5月に目黒区のマンションに引っ越した。佐賀被告は女性に付きまとうようになり、7月16日に埼玉県川口署は女性に対する暴行容疑で逮捕。川口署は女性の自宅がある警視庁目黒署へ連絡し、女性は23日に同署を訪れた。佐賀被告は罰金10万円の略式命令を受け、川口署は佐賀被告を釈放し、女性に接触しないとする誓約書を提出させた。目黒署は女性に住居や連絡先を変更するように指導。佐賀被告は8月3日、女性に交際時に支払われた200万円を請求し、ふたたび付きまとうようになった。目黒署は8月にも警戒を要請するも、女性は引っ越し代を工面できないと話した。佐賀被告が以前のアルバイト先を訪れたことを知った女性は9月12日、目黒署に相談。目黒署は実家やホテルなどへの避難を要請するも、連絡はその後途絶えた。
 9月20日ごろ、女性の安否確認が取れないと勤務先の会社から目黒署に連絡があった。10月25日、警視庁捜査1課は佐賀被告を死体遺棄容疑で逮捕した。女性の遺体は見つかっていない。
裁判所
 最高裁第三小法廷 戸倉三郎裁判長
求 刑
 無期懲役
判 決
 2019年10月23日 懲役29年(被告側上告棄却、確定)
裁判焦点
 
備 考
 東京地裁は、被害女性の氏名や住所を法廷で明らかにしない秘匿決定を行っている。

 2018年12月14日、東京地裁の裁判員裁判で求刑無期懲役に対し一審懲役29年判決。2019年7月10日、東京高裁で被告側控訴棄却。

氏 名
高平剛志(25)
逮 捕
 2019年1月10日
殺害人数
 2名
罪 状
 殺人
事件概要
 愛媛県新居浜市の会社員、伊藤剛志(事件当時の姓)被告は2019年1月9日、自宅で同居する会社員の父親(当時55)の胸を包丁で1度刺して殺害。また、母親(当時54)の顔などを多数回蹴ったうえ、包丁で背中や胸を刺すなどして殺害した。
 9日夜、父親の勤務先から新居浜署に「数日間連絡が取れない」と連絡があり、10日朝に自宅を訪れた署員が遺体を発見。伊藤被告は家におらず、同日、隣の同県西条市内の駐車場で捜査員に身柄を確保され、父親の殺人容疑で逮捕された。31日、母親に対する殺人容疑で再逮捕された。  松山地検は刑事責任能力を調べるための鑑定留置を松山地裁に請求し、認められた。期間は2月15日から5月27日まで。5月31日、地検は高平剛志被告を殺人容疑で起訴した。
裁判所
 松山地裁 末弘陽一裁判長
求 刑
 無期懲役
判 決
 2019年10月24日 懲役28年
裁判焦点
 裁判員裁判。
 2019年10月15日の初公判で高平剛志被告は、「間違いない」と起訴内容を認めた。
 検察側は冒頭陳述で、「両親から不倫関係を絶つように叱責されて立腹した」と述べ、職場の同僚女性との不倫を責められたことが殺害の動機になったと明らかにした。不倫は2017年ごろから始まり、2018年6月に妻子と別居。実家に戻ったが、同10月に両親に不倫がばれて別れるよう言われた。うそをついて不倫を続けたが再び両親にばれ、殺害の2週間ほど前には父と殴り合ったり、母に包丁を突きつけられたりしたという。2019年1月9日の午後0時半ごろ、両親が高平被告の前で相手女性に電話をし、その後不倫関係を絶つよう迫られて両親への怒りを抑えられなくなったと経緯を説明した。弁護側は殺人罪の成立については争わず、高平被告と両親の関係性や精神鑑定の結果などを量刑の判断材料として示すと述べた。
 17日の論告で検察側は、「同僚との不倫に反対する両親への怒りを抑えられなくなったという動機は、あまりにも身勝手で酌量の余地は一切ない」と指摘した。
 同日の最終弁論で弁護側は被告に適応障害があることを訴え、「不倫関係をとがめられたための犯行と単純化して不利に考慮すべきではない」などと情状面の考慮を求め、懲役24年が相当とした。
 判決で末弘裁判長は、犯行のきっかけは、妻子と別居していた高平被告が、妻以外の同僚女性との不倫関係を断つよう両親から叱責を受け、不満を抱いたことだと認定。「突発的だが強固な殺意に基づいている」とした。母親に意識があると確認するたびに蹴りつけ、タオルで首を絞めるなどした点は「執拗かつ残虐」と批判した。一方、母親が高平被告に包丁を突きつけて女性との別れを迫ったことなどを挙げ、「両親に落ち度があるとはいえないが、一定程度は考慮できる事情がある」とした。また、被告の適応障害が犯行に間接的に影響を与えたことも否定できないとした。
備 考
 控訴せず確定。

氏 名
少年(18)
逮 捕
 2018年3月2日
殺害人数
 1名
罪 状
 強盗致死、住居侵入
事件概要
 千葉県茂原市の無職少年C被告(当時17)は、同市内のアパートで同居する土木作業員の少年A被告(事件当時18)、無職少年B(当時18)と共謀。2018年2月26日午前1時15分ごろ、同市に住む女性(当時85)宅に侵入。寝室で女性を床に押し倒して殴ったり首を絞めるなどして現金約12,000円を盗み、包丁で首を3回刺して殺害した。
 女性は長女と同居していたが入院したため1人で生活。近くに住む長男夫婦が頻繁に訪れていた。
 26日午前8時55分ごろ、長男の妻が倒れている女性をみつけ、119番通報。3月2日、捜査本部は少年3人を強盗殺人と住居侵入の疑いで逮捕した。
 千葉地検は3月19日、少年A被告と少年Cを千葉家裁に送致した。同家裁は同日、2週間の観護措置を決定した。23日、少年Bを千葉家裁に送致した。家裁は同日、2週間の観護措置を決めた。4月3日までに千葉家裁は少年A被告に対し、2週間の観護措置延長を決定した。千葉地検は同日、少年Bと少年Cを別の窃盗事件で再逮捕した。千葉家裁は4月13日、少年A被告を検察官送致(逆送)とする決定をした。千葉地検は20日、強盗殺人罪などで少年A被告を起訴した。
 県警捜査3課は6月7日、茂原市を中心に2017年12月〜2018年3月に相次いだ窃盗事件約50件に関与したとして、少年B、少年Cを含む同市などの17〜19歳の少年5人を窃盗などの容疑で逮捕・送検したと発表した。そのうち少年Bと少年Cは事件前日の2月25日未明から早朝にかけて、盗み目的で女性方に侵入し金品を物色していた。千葉家裁は6月29日、少年Bと少年Cを検察官送致(逆送)とする決定を出した。千葉地検は7月6日、少年Bと少年Cを強盗殺人や住居侵入などの罪で起訴した。
裁判所
 東京高裁 芦澤政治裁判長
求 刑
 無期懲役
判 決
 2019年10月28日 懲役20年(被告側控訴棄却)
裁判焦点
 
備 考
 少年A被告は2019年1月24日、千葉地裁の裁判員裁判で求刑通り一審無期懲役判決。2019年6月27日、東京高裁で被告側控訴棄却。上告せず確定。
 少年B被告は2019年10月2日、千葉地裁の裁判員裁判で求刑通り一審無期懲役判決。被告側控訴中。

 2019年5月31日、千葉地裁の裁判員裁判で求刑無期懲役に対し、一審懲役20年判決。被告側は上告した。2019年10月28日、東京高裁で被告側控訴棄却。2020年6月までに上告棄却、もしくは上告取り下げで確定。

氏 名
渡辺武久(37)
逮 捕
 2018年8月7日
殺害人数
 1名
罪 状
 強盗致死、強盗致傷、住居侵入他
事件概要
 指定暴力団住吉会系組員、渡辺武久被告は、栃木市の自称とび職、石崎太被告に強盗を指示。石崎被告は仕事仲間である鹿沼市のとび職I被告に共犯者の紹介を依頼。紹介された宇都宮市の無職S被告とともに2018年5月13日午前0時〜1時30分ごろ、栃木市に住む男性(当時82)宅に押し入るも、同居の長男(当時59)に遭遇したため暴行した後、何も取らずに宇都宮市のとび職F被告が運転する車で逃走した。渡辺被告は知人の無職の女から、男性宅に現金があると知らされ、知人の石崎被告に犯行を指示した。
 再び渡辺被告に強盗を支持された石崎被告は、F被告に粘着テープなどを用意させたうえで、I被告から紹介された少年被告と共謀。7月26日午前0時ごろ、同じ家に押し入り、暴行して男性を死なせ、長男にも殴って重傷を負わせ、現金約30万3千円や預金通帳3冊を奪った。その後、F被告の運転する車で逃走した。
 県警栃木署捜査本部は7月29日、石崎被告と少年被告を強盗殺人他容疑で逮捕。8月7日、強盗殺人他容疑で渡辺被告を逮捕。9月5日、強盗致傷容疑で渡辺被告、石崎被告を再逮捕。S被告とF被告を強盗致傷他容疑で逮捕した。9月19日、強盗致傷幇助他容疑で無職の女性を逮捕。
裁判所
 宇都宮地裁 柴田誠裁判長
求 刑
 無期懲役
判 決
 2019年12月6日 懲役30年
裁判焦点
 裁判員裁判。
 2019年11月25日の初公判で、渡辺武久被告は「5月の事件は家の情報を実行犯に伝えただけ、7月の事件には関係していない」と起訴内容を否認した。
 検察側は冒頭陳述で「実行犯に指示して2度にわたって押し入らせた」と指摘。弁護側は「5月の事件では間取りなどを実行犯に教えたが、空き巣だと思っていた。7月の事件は終わってから知り、指示はしていない」と、5月の事件の窃盗、住居侵入の幇助罪のみが成立すると主張した。
 12月2日の論告で検察側は、渡辺被告が実行犯に強盗の方法を指示した形跡があり、犯行に用いられた催涙スプレーを購入していたことなどから、「強盗を主導したのは明らかだ」と強調した。
 同日の最終弁論で弁護側は、「渡辺被告は現場の情報を実行犯に伝えたのみで、指示や催涙スプレーは別に実行犯に依頼していた借金取り立てのためのもの」と主張した。
 判決で柴田裁判長は実行役らの証言などから「現場の情報を実行犯に提供し、事件前後に実行犯と頻繁に連絡を取っている」として、渡辺被告を首謀者と認定。また「実行役を深夜に侵入させれば、家人と遭遇して暴力を振るうことは想像し得る」などと強盗の故意についても認めた。そして被告は「特に重い責任を負う立場にある」と強調。強盗致死罪などが成立すると判断し、「被害者が精神的、肉体的に受けた苦痛は計り知れない」と述べた。一方、実行役らには催涙スプレーを渡していることなどから、高齢男性が死亡したのは実行犯の暴走によるものと指摘。「被害者の死を想定内だったとは認められない」とし、有期刑が相当と結論付けた。
備 考
 強盗致死罪などに問われた石崎太被告は2019年1月30日、宇都宮地裁(佐藤基裁判長)の裁判員裁判で求刑無期懲役に対し一審懲役29年判決。2019年7月23日、東京高裁で被告側控訴棄却。(おそらく)上告せず、確定。
 強盗致死罪などに問われた宇都宮市の無職少年(事件当時19)は2019年1月18日、宇都宮地裁(佐藤基裁判長)で懲役8年以上15年以下(求刑懲役10年以上15年以下)判決。犯行に参加したのは友人のためで金品目的ではなく、共犯者内での立場も最も従属的なものだったと認定された。控訴せず、確定。
 強盗致傷罪などに問われたS被告は2019年3月18日、懲役7年判決(求刑懲役8年)。控訴するも取り下げ、確定。
 強盗致傷幇助罪などに問われたF被告は2019年5月16日、懲役2年6月・執行猶予4年判決(求刑懲役3年)。おそらく控訴せず確定。
 強盗致傷幇助罪などに問われたI被告は2019年10月11日、懲役6年判決(求刑同)。同年11月7日、控訴取下げ、確定。

 被告側は控訴した。

氏 名
鈴木洋一(39)
逮 捕
 2017年10月10日
殺害人数
 1名
罪 状
 殺人
事件概要
 川崎市の会社員、鈴木洋一(ひろかず)被告は2006年9月23日午前0時ごろ、川崎市の貨物駅直下のトンネル内歩道で、近くに住むアルバイトから帰宅中の女性(当時27)の腹を刃物で刺し、さらに右胸で刺して殺害した。
 鈴木被告はその後、別の殺人未遂事件で服役していたが、2016年1月、収容中の黒羽刑務所(栃木県大田原市)から女性殺害の関与をほのめかすはがきを神奈川県警に送り、その後、殺害を認めた。任意の聴取で説明した殺害方法と遺体の状況なども一致、神奈川県警は2017年10月10日、鈴木被告を逮捕した。
裁判所
 横浜地裁 景山太郎裁判長
求 刑
 無期懲役
判 決
 2019年12月13日 懲役28年
裁判焦点
 裁判員裁判。
 2019年11月19日の初公判で、鈴木洋一被告は「腹部を刺したときに殺意はありませんでしたが、胸部は殺意に基づいて遂行したと思います」と起訴内容の一部を否認したが、それ以外は認めた。
 冒頭陳述で検察側は説明。家族生活や職場でのストレスを募らせた鈴木被告は2006年6月ごろから、夜に包丁を隠し持ち、市内を車やバイクに乗って徘徊。自分好みの女性を物色するようになった。この背景には、テレビで19世紀の英国の連続殺人鬼「切り裂きジャック」を知ったことも影響したと、検察側はみている。それから約3カ月後の9月23日午前0時ごろ。車で好みの女性を物色していた鈴木被告は帰宅途中の女性を見かけ、女性が歩いていく方向に先回りした。現場トンネル近くに車を止めると、車内にあった包丁を持って車を降りて待ち伏せし、凶行に及んだ。
 弁護側は、腹部を刺したときは「苦悶する顔の表情を見たいと思っていただけで、殺意はない」と主張した。
 21日の第2回公判における被告人質問で、鈴木被告は県警に犯行を告白するはがきを送った理由について、2015年に脳梗塞などを患ったことがきっかけだったとし、「自分は命を救われたが、何もしていない被害者が、なぜ命を落とさなくてはいけなかったのかを毎日考えた」と語った。
 しかしその後の公判で、鈴木被告は被害者を襲ったときの心境を「正直、すっきりしました」と答え、ニュースで自らの犯行が伝えられているのを知ったときは、「『この事件は俺がやったんだ』と思って、ガッツポーズをしました」と発言している。腹部を刺したときの殺意についても、「死ぬ危険性があるとは認識していなかった」と話し、検察や裁判所からの「人のおなかを刺したら、どうなるのか分からなかったの?」との質問に対しては「(病気を)患ってから、人体について勉強して分かった」「事件当時は、具体的にどうすれば死ぬかということは分からなかった」などと説明した。
 12月2日の遺族による意見陳述も行われた。女性の父親は「将来のある娘の命を奪った犯人を、私は絶対に許すことはできません」と述べ、母親も「今も娘のことを思わない日はありません。ふとした瞬間に由理の顔が頭に浮かび、苦しみの連続です」と悔しさをにじませた。
 同日の論告で検察側は、急所である腹を刺したことから最初から殺意はあったと主張。事件の3カ月前から包丁を持って好みの女性を物色しており、夜間に人通りが少ない場所で事件を起こしたことなどから、犯行は計画的だとした。「ストレス解消のため、好みの女性の死ぬ間際の苦しむ顔が見たいという理由で人生が絶たれた女性の無念さは、察するにあまりある」と厳しく指弾。「理不尽極まりない無差別殺人で、殺人罪の中でも重く処罰されるべき事案。人の命を軽視する度合いが非常に強く、被告人に有利な事情を考慮しても極めて悪質で、再犯の危険性も大きい」と説明した。
 弁護側は同日の最終弁論で、最初に腹部を刺したときは「苦しむ表情が見たいと思っただけで、殺意はなかった」と反論。殺人罪の成立を認めた上で、鈴木被告に計画性はなく、被告の性嗜好障害やパーソナリティー障害が事件を思いとどまらせるのを阻害したと訴え、自ら犯行を打ち明けたことなどから量刑を考慮するよう求めた。
 最終意見陳述で鈴木被告は「心から反省し、深く後悔しております。どんな判決になっても、女性の命が返ってこないということについて、一生考え続けることを誓います」と、謝罪の言葉を口にした。
 判決で景山裁判長は、鈴木被告が自らのストレス解消という目的で犯行に及んだことを「無関係の女性を襲ったのは身勝手で理不尽。強固な殺意に基づく卑劣、残虐な犯行で、人命軽視は甚だしい」と厳しく非難。「被害者の苦痛や恐怖は計り知れず、突如人生を断たれた無念さは察するに余りある」とした。その一方、別の通り魔事件で実刑が確定した鈴木被告が、服役中に犯行を「告白」する内容のはがきを神奈川県警に送ったことを、「重い処罰が予想される未解決事件を自供するなど更生の一歩を踏み出したと言える」と量刑理由を述べた。
備 考
 鈴木洋一被告は2007年4月5日午後10時25分ごろ、川崎市の路上で帰宅途中の会社員女性(当時40)に背後から近付き、追い抜きざまに背中と腰の2か所を刃物で刺して約3か月の重傷を負わせた。さらに襲おうとしたが、女性が民家に助けを求め、人が出てきたため諦め、軽乗用車に戻って逃走した。鈴木被告は事件から約1時間後、宮前署に出向いて「車で近くを通った時、男が女性を追いかけるのを見た。制止しようとして手を切られた」と届け出た。しかし、被害者の女性や悲鳴を聞いて外に飛び出した近所の人が「助けに入った人はいなかった」と話し、鈴木被告が女性の手当てをしないまま回り道をして現場から立ち去り、自宅に戻るなど不可解な点があったため、任意で事情を聞いた。解放しなかったはずの鈴木被告の靴に女性の血がついていたこと、女性が鈴木被告に似ていると話したことなどから、4月20日、宮前署は鈴木被告を殺人未遂容疑で逮捕した。殺人現場から約1.5km離れた場所だった。また2005年3月、トンネルから約500m北に離れた同市の路上で、深夜に帰宅していた女性会社員がバイクの男に後ろから刃物で刺され、重傷を負っている。
 2008年3月3日の初公判でも鈴木被告は犯行を否認し、裁判でも供述を拒否したが、7月14日、横浜地裁川崎支部(加登屋健治裁判長)は鈴木被告の犯行と認定し、懲役10年判決(求刑懲役15年)を言い渡した。この公判では殺人事件についても問われ、鈴木被告は「お答えできません」と答えている。弁護側は事実誤認を、検察側は量刑不当を理由に控訴。2009年4月13日、東京高裁(若原正樹裁判長)は検察・被告側控訴を棄却した。8月12日付で最高裁第一小法廷(涌井紀夫裁判長)は被告側上告を棄却し、刑が確定した。

 被告側は控訴した。

氏 名
西原崇(36)
逮 捕
 2018年2月13日
殺害人数
 1名
罪 状
 殺人、強制わいせつ
事件概要
 松山市の運送会社員、西原崇被告は2018年2月13日午前4時35分〜午前5時50分ごろ、今治市の段ボール製造販売会社の敷地内で、同僚の女性(当時30)の首を両手で絞め、タイツをはぎ取るなどわいせつ行為をし、首をタイツで絞めて殺害した。
 女性は同日未明、荷物を配送するため、一人で段ボール製造会社に向かった。西原被告は同日早朝、女性と合流して仕事を手伝う予定だった。
 帰社予定だった午前中に戻らず、連絡も取れなくなったため、会社の上司が13日午後、西条署に行方不明届を提出。県警が、女性が仕事をしていた段ボール製造会社を捜索した際、遺体が見つかった。会社の敷地や建物は人が出入りしていたが、遺体があったのは人目につきにくい場所だった。
 県警は13日午後、西原被告から任意で事情を聴き、同行した現場で逮捕した。
裁判所
 高松高裁 杉山慎治裁判長
求 刑
 無期懲役
判 決
 2019年12月24日 地裁差し戻し(一審破棄)
裁判焦点
 杉山裁判長は判決理由で、被告が女性に好意を抱いていたと認め、女性が既婚者でわいせつ行為に同意する可能性がなかったことなどから、犯行は最初からわいせつ目的だったと判断。一審で同致死罪が認定されなかったことは「不合理で是認できない」とし、量刑などを改めて審理する必要があるとした。
備 考
 2018年11月13日、松山地裁の裁判員裁判で求刑無期懲役に対し、一審懲役19年判決。被告側は上告した。




※最高裁ですと本当は「判決」ではなくて「決定」がほとんどですが、纏める都合上、「判決」で統一しています。

※銃刀法
 正式名称は「銃砲刀剣類所持等取締法」

※麻薬特例法
 正式名称は「国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律」

※入管難民法
 正式名称は「出入国管理及び難民認定法」

【参考資料】
 新聞記事各種

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