占い師殺人事件

占い師殺人事件


【問 題】
 一人暮らしの女占い師が自室で殺された。腹を刺され、テーブルにうつ伏して死んでいたのだが、そのテーブルには十二支の絵を円形に並べた図版がひろげてあり、辰のところに血文字で×がしてあった。被害者の右手の指先に血が付いていたので、どうやら彼女は犯人の手掛かりを残そうと思って、流れ出る自分の血を指に付け、辰の絵に×印を書いたらしい。
 捜査の結果、三人の容疑者が浮かび上がった。三人とも町内の店主で、被害者にたびたび占ってもらっていた。
 黒猫屋(おもちゃ屋・サル年生まれ)
 河童堂(古美術商・イヌ年生まれ)
 とら屋(和菓子屋・ウマ年生まれ)

「しかし変だな。三人とも、辰、つまり竜には関係ないじゃないか」
 若い刑事たちが首を傾げていると、
「いや、一人いる。こいつが犯人だ」
 と定年近い署長はズバリ指摘したのである。
 では、犯人は一体誰か。そして、その根拠は。


【解 答】
 古美術商の河童堂である。十二支の中で、辰だけが唯一空想上の動物である。同じ空想上の動物である河童を示そうと、辰に×印を付けたのだ。

【覚 書】
 犯人がいないのなら、普通に名前を書けばいいし、犯人がいるのならどんなダイイング・メッセージだって消そうとするだろう、というお約束のツッコミは横に置いておくとしても、いくら何でも、強引なこじつけ方じゃないですか、これ。こんな推理、普通できないですよ。

 ※解答部分は、反転させて見てください。
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