藤原宰太郎『名探偵に挑戦 第2集』


藤原宰太郎 『名探偵に挑戦 第2集 女怪盗との華麗な知恵くらべ』
(KKベストセラーズ ワニ文庫)




『名探偵に挑戦 第2集』


 『名探偵に挑戦 第2集 女怪盗との華麗な知恵くらべ

 著者:藤原宰太郎
 (藤原宰太郎:推理クイズ作家として数々の著書を執筆)

 発行:KKベストセラーズ ワニ文庫

 発売:1991年3月5日初版

 定価:480円(初版時)




 この第2集では、探偵編と怪盗編にわけて書きました。名探偵といえばシャーロック・ホームズ、怪盗といえばアルセーヌ・ルパンが代表選手ですが、二人がデビューしたのは一世紀も前なので、今とは時代背景がぜんぜん違います。そこで、本書では、三世代も若いダン探偵と女怪盗メグを登場させました。そして、最後は、この二人が対決します。
 日本のミステリーには、名探偵が活躍する作品はたくさんありますが、怪盗を主人公にした作品はほとんどありません。泥棒を主人公にするのは日本人の潔癖な国民性に合わないのかもしれませんが、ミステリーはあくまで推理ゲームですから、かた苦しい道徳観にとらわれずに、女怪盗メグの華麗な盗みのテクニックを楽しんでください。
 盗みはすれど非道はせずをモットーにした正統派の怪盗レディーです。ダン探偵ともども、よろしくご声援を。

(「名探偵ダン、女怪盗メグ登場!」まえがきより)


【もくじ】
 第1章 名探偵ダン登場!
 第2章 女怪盗メグの華麗な犯行
 第3章 名探偵vs女怪盗、極限の知恵くらべ

 他にコラムが入っている。

 本の構成は『ホームズ対ルパン』(ワニの豆本)とほぼ同じであり、ホームズをダン、ルパンをメグと変えている。問題は『ホームズ対ルパン』、『謎の怪事件』(ワニの豆本)を加筆、再編集している。巻末には書かれていないが、『名探偵に挑戦』(ワニの豆本)からの引用もいくつかある。数問ではあるが、新作らしき問題も入っている。コラムも先の本からの流用がほとんどである。

 ホームズ、ルパンを取り扱っていた著作から、名前をダン、メグと変更した理由は、著作権の問題か、それとも「まえがき」にあるとおり、時代との整合性を持たせるためか。作者によると編集者の指示によるものであり、詳しい経緯を知らないとのこと。『ホームズ対ルパン』では現代に彼らが存在したらという設定で書いていたのだが。コラムはホームズ、ルパンに関するものが多いので、本の整合性にやや矛盾が生じている。
 『名探偵に挑戦 第1集』でも書いたが、このシリーズは過去の推理クイズ本を総まとめしようという意味合いを持っている。そのため、こんな苦肉の策を用いたのだろう。
 なおダンの名前は、初期の推理クイズ本で探偵役を務めた段五郎より取っているものと思われる。

 構成の経緯については『藤原宰太郎探偵小説選』(論創ミステリ叢書113)よりより引用しました。有難うございました。

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