この写真はにせものだった


【問 題】
 ある事件で容疑者が捕まった。
「おい、お前は二日前の午後2時、どこへ行っていたんだ」
 すると容疑者はポケットから一枚の写真を取り出した。
「見て下さいよ。二日前は、●●公園に行っていたんですよ。ここにある公園の時計を見て下さい。午後2時を指しているでしょう」
 事件の現場と●●公園は20kmは離れている。この写真が本物だったら、容疑者のアリバイは成立する。
「別の日に撮ったものじゃないのか」
「違いますよ。ちゃんと二日前に撮ったものです。見て下さい。二日前はこどもの日だったから、こうして鯉のぼりがあがっているでしょ。この鯉のぼりは、こどもの日一日だけしかあがらないんですよ」
 写真を見ると、時計台の後ろの方で、鯉のぼりが右から左に泳いでいる。
 ところが警部は、写真に写っている容疑者のスーツの胸ポケットが右にあるのを見て、いきなり指差した。
「この写真は、にせものだ。午前に撮ったやつだろう」
 なぜ警部は偽物と判断したのだろう。この写真はどうやって作られたのか。


【解 答】
 スーツの胸ポケットは普通、左側にある。それが右側にあるということは、ネガを裏返しにして写真を焼いたのだ。つまり、午前10時に撮られた写真なのである。


【覚 書】
 本当はイラストクイズにしたかったんですが。絵が下手なので断念。このトリックは、推理クイズでは有名です。もしかしたら過去の作品にもこのトリックが使用されているのかも知れません。一応、現段階でわかっている作品が、鮎川哲也の短編でした。このトリック、後にもっと複雑なトリックに生まれ変わって、長編に使用されています。
 多分その前に書かれたのが、クレイストン・ロースンの短編「マリーニと写真のなぞ」のようです。

 ※解答部分は、反転させて見てください。
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