橋の上の銃声


【問 題】
 月のない夜。巡査が自転車に乗ってパトロール中、100m先の橋の方から一発の銃声が聞こえてきた。急いで駆けつけると、橋の真ん中に女が倒れており、連れの男が逃げ出した。と同時に、ドボンという水の音がした。
 巡査は自転車で体当たりをして男を捕まえた。とりあえず男に手錠をかけ、橋のところに戻り、女を調べると、左の胸を一発撃たれ、既に死んでいた。当然男が犯人と思われるが、身体検査をしても何も持っていなかった。
「川に捨てたんだろう。ドボンという音がしたぞ」
「下駄の鼻緒が切れたんで、川に捨てたんだよ」
 確かに男の左足は裸足で、右足だけ四角い大きな下駄を履いていた。
 翌日、現場検証が行われた。川の深さは1.5m程度だし、流れも緩やかなので、重いピストルが遠くまで流されるはずがない。しかし、電気探索器まで使って川底をさらってもピストルは見あたらなかった。
 女の死体から、ピストルは22口径の小型ピストルであることがわかった。
 さて、男はピストルをどこへ隠したのだろう。


【解 答】
 丈夫な紙ひもでピストルを下駄にくくり、川へ投げた。下駄が浮き輪の役目をしたので、川底に沈まず、下流まで流された。やがて紙ひもが切れてピストルが沈むが、かなり下流なので発見される心配はない。月のない夜なので、巡査は川に浮いているピストルに気付かなかった。

【覚 書】

 凶器の隠し方の基本バージョン。とはいえ、この場合はパラフィン・テストで男がピストルを撃ったことがわかってしまう。このパラフィン・テストをごまかすトリックもあります。それはいずれ。

 ※解答部分は、反転させて見てください。
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