女探偵の名推理


【問 題】
 その日は三十四度を超す猛暑だった。
 東京駅の新幹線ホームは、ひかり号が到着して、乗降客で大変な混雑だった。
 女探偵メグは、その人混みと暑さにうんざりしながら、ホームに立っていると、知っている人物を見かけたので声をかけた。
「中川さん、お久しぶりね。旅行へお出かけかしら」
 それは女ペテン師の中川美代子だった。
「いいえ、友だちが上京してくるので向かえに来たのよ。ただ、次の電車みたいね」
「あら、奇遇ね。私もそうなのよ。まだ15分もあるから、お互いに早く来すぎたみたいね」
 美代子はそういったが、会いたくない人物に会ったという顔がありありだった。
「中川さん、ベンチが空いたから、座りましょうよ」
 メグがそういうと、美代子は渋々ながら一緒に座った。それでも機嫌を取ろうとしてか、ハンドバックからチョコレートを取り出した。
「メグさん、お一つどうぞ」
 板チョコを二つにポンと折って、その一つをメグにすすめた。
 メグはチョコレートが好きだったので、遠慮なくもらって、口に入れた。固いチョコレートは、口の中で甘く溶けた。
「ところで中川さん。あなたはなぜ嘘をつくの? 本当は、今到着したひかり号に乗って、東京へ帰ってきたんでしょう。大阪かどこかでわるいことでもしたの? 私に会ってしまったから、咄嗟に嘘を言ってアリバイをごまかそうとしたんでしょう」
「メグさん。あなた、私が新幹線から降りてきたところを見ていたのね」
「いいえ、見ていなくても、あなたの嘘ぐらいはすぐにわかるわ」
 さて、女探偵メグはどうして嘘を見破ったのだろう。


【解 答】
 メグは美代子からもらったチョコレートが固かったことに気付いたので、美代子がさっきまで冷房の効いたひかり号に乗っていたことを見破ったのである。もし炎天下の中、駅でずっと待っていたのだったら、チョコレートはとっくの昔に溶けていたはずだ。

【覚 書】

 これは誰かの犯人当てでありそうなトリック。単純ですけれど、嘘探しにはうまい手がかりだと思います。

 ※解答部分は、反転させて見てください。
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