髭の男を捜せ


【問 題】
 恋人同士である私と彼女は、忙しい探偵業務の合間を縫ってスキー旅行としゃれ込んでいた。好天が続く雪山だが、観光旅行をするにはやや不便な位置にあるこの山は、意外と客が少ない。私と彼女は、グッドコンディションの雪山でスキーを存分に楽しみ、普段は探偵業務に使っている双眼鏡で山の景色を楽しんでいた。
 旅行の三日目、この日も二人でスキーをすべっていたが、リフトで頂上に登ったとき、銃声が聞こえた。よく見ると、ゲレンデの反対側で、誰かが撃たれたようだった。私は慌てて双眼鏡を覗くと、短銃を持った男が、スキーで山を下りていくところだった。目はサングラスで隠れていたが、口のまわりやアゴは髭でぼうぼうだった。そちらは雪崩の危険があるので客がすべることは出来ないが、麓の方は駅に近い。私と彼女は慌ててゲレンデを降り、警察に連絡した。

 依頼通りに男を殺し、スキーで山を降りていく。三日間、この山をすべりながら探し出したルートだ。俺に追いつくのは不可能だ。麓に降りた俺は短銃を捨て、サングラスもスキーウェアも別のものに替えた。さらに、3週間延ばしっぱなしだった髭を手探りで剃った。仕事が終わると髭を剃るのは、俺のジンクスみたいなものだ。そして車ではなく電車で逃亡するために、スキーを抱えて駅へ向かった。車だと検問が待ちかまえている可能性が高い。電車で逃げる方が盲点なのだ。

 しかし男は駅へ着いた瞬間、見張っていた警官にあっさり捕まってしまった。探偵の男は彼を目撃していたものの、顔はサングラスと髭に隠れてよく見えなかった。他の客は双眼鏡など持っていないから、誰も顔を見ていない。被害者は意識不明で病院にいるままだ。ではなぜ?


【解 答】
 好天続きだったため、犯人だった男は三日間ですっかり顔が雪焼けしたのだ。男は手探りで髭を剃ってしまったため、髭で覆われていた顔の下半分が白いままの状態になっていることに気付かなかった。そのような人物が現れては、たとえ犯人の顔が髭で覆われていたという事実を知らなくても、警察は疑いの目をかけるだろう。

【覚 書】

 様々な推理クイズ本に、色々なバリエーションで載っているお馴染みのもの。最初に考えた人は大したものです。

 ※解答部分は、反転させて見てください。
 ※お手数ですが、ブラウザの「戻る」ボタンで戻ってください。