新保博久『3分間探偵ゲーム』


新保博久『3分間探偵ゲーム』
(角川書店 びっくり文庫)




『3分間探偵ゲーム』


『3分間探偵ゲーム』
  キミの頭脳はどの程度?

 著者:新保博久
 (新保博久:1953年京都市生まれ。小学校時代から推理小説にみせられひたすら没入。早稲田大学在学中よりミステリ・クラブに在籍し卒業後、同部の先輩とともに、オフィス221を結成。また評論家権田萬治氏に師事し「ミステリマガジン」「潮」「本の雑誌」等に推理小説時評を連載。)

 発行:角川書店 びっくり文庫

 発売:1981年2月20日

 定価:340円(初版時)




 あの怪盗と知恵くらべ
 えっ、殺人事件? 犯人は誰だ?
 凶器は? 動機は? それ、現場に急げ!
 さあ、きみならこの難事件を、
 どう解決するかな。名探偵になったつもりで、
 思い切り頭をひねって挑戦してみよう。
                      (折り返しより)

 シンポ教授こと新保博久のデビュー単行本、といってよいと思う。1980年に登場した新シリーズ「びっくり文庫」はハウツーもの、ドキュメンタリー、レジャー案内、ファッションなどの関連書を収録した新シリーズで、ページの端はオレンジ色に塗られていた。

 様々な名探偵のパロディという形を取った推理クイズ47問が収録されている。後にタイトルを変えて復刊された『推理の達人』のまえがきを読むと、既成の推理クイズ本に負けないという心意気で書かれていたようで、そのパワーは行間から充分伝わってくる。ただクイズに使用されたトリックのほとんどは過去の推理小説のトリックから引用されたものであるのは少々残念である。どうせならオリジナルのトリックを使ってほしかったと思う。パロディの方向が下品な方向に向かっておるものもあり、パロディとしての笑いを取るためとは思われるが、推理小説の面白さを伝えるという目的からは少々外れている感があるのも残念である。

 本文イラストは佐藤喜一。

 出てくる名探偵の本家は以下。問題収録順に並べている。ニッキーと仁木、アプルビイ警部とドルリイ・レーンは一つの問題で二人の探偵がパロディ化されている。各問題の解決編の後に「名探偵紹介」を設け、パロディ化した名探偵と作者、代表作を紹介しているが、スペースの関係か紹介欄がない名探偵もいる。『推理の達人』で紹介されなかった名探偵は加賀美課長。

 キリオン・スレイ、刑事コロンボ、明智小五郎、リュー・アーチャー、加賀美課長、赤かぶ検事、巨勢博士、南郷次郎、ブラウン神父、ハニー・ウェスト、チャーリー・張、神津恭介、ニッキー・ウェルト、仁木雄太郎、エラリー・クイーン、フェル博士、ピーター・ウィムジー卿、ファイロ・ヴァンス、マルティン・ベック、87分署、ナイジェル・ストレンジ・ウェイズ、伊達邦彦、ミス・マープル、ジョセフ・ルレタビーユ、ヘンリー・メリヴェール卿、サイモン・テンプラー、エルキュール・ポワロ、金田一耕助、ジェイムズ・ボンド、アルセーヌ・ルパン、ドーヴァー警部、フィリップ・マーロウ、隅の老人、フレンチ警部、メグレ警視、ペリー・メイスン、ソーンダイク博士、マイク・ハマー、コンチネンタル・オプ、シャーロック・ホームズ、アプルビイ警部、ドルリイ・レーン、ヴァン・ドゥーゼン教授、鬼貫警部、オーギュスト・デュパン、藤枝真太郎、法水麟太郎、ネロ・ウルフ、アブナー伯父。

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