ドナルド・J・ソボル『2分間ミステリ』


ドナルド・J・ソボル『2分間ミステリ』
(早川書房 ハヤカワ・ミステリ文庫)




『2分間ミステリ』 『2分間ミステリ』

 作者:ドナルド・J・ソボル
 (1924年ニューヨーク生まれ。著書が60冊以上ある児童書作家。オーバーリン大学を卒業後、新聞記者からフリーライターに。1963年から開始した「少年探偵ブラウン」シリーズは、“百科事典”の異名を取る博覧強記な少年が、警察署長の父親に代わって毎回事件を解決するというミステリで、世界じゅうで愛読されている。同シリーズの功績によって、1976年にはアメリカ探偵作家クラブから特別エドガー賞を授与された)

 訳:武藤崇恵

 発行:早川書房 ハヤカワ・ミステリ文庫

 発売:2003年11月15日初版

 定価:514円(初版時 税抜き)





 銀行強盗を追う保安官が拾ったヒッチハイカーの正体とは? 屋根裏部屋で起きた、首吊り自殺の真相は? 一攫千金の儲け話の真偽は? 制限時間は2分間、きみも名探偵ハレジアン博士の頭脳に挑戦! 手がかりはすべて問題文のなかに隠されている。動かぬ証拠を押さえて犯人を追いつめろ。事件を先に解決するのはきみか、博士か? いつでも、どこでも、どこからでも楽しめる、面白くてちょっぴりためになる推理クイズ集

(裏表紙より)


 原題はTwo-Minute Mysteriesで1970年発行。ケン・ウェバー『5分間ミステリー』シリーズがヒットしたことから、35年以上も経って改めて翻訳されたのだろう。もっとも、原著はウェバーより本書の方が早いのだが。
 二〜三ページの短い推理クイズ70問(うち1問は懸賞問題)とその答から成っている。答はうっかり目に入らないように、天地逆に刷ってある。正直いうと、これは見にくい。別ページにしてあれば、特に問題はなかったものと思えるのだが。
 主人公は博識ハレジアン博士。他の登場人物に、ガールフレンドのオクタヴィア。ウィンターズ警視とモナハン保安官。ガセネタばかりたれ込んではウィンターズ警視に蹴飛ばされるたれ込み屋のニック。一攫千金を夢見続けては失敗ばかりするイギリス人青年、バーティ・ティルフォード。ハレジアン博士をへこませることに生き甲斐を感じている大富豪、シドニー夫人。失敗ばかりのプレイボーイ、シリル・マーキンなどなど。

 オースティン・リプレイ『続推理試験』、ケン・ウェバー『5分間ミステリー』と同様、容疑者や登場人物の発言中の矛盾を探偵役が指摘し、事件を解決したり、誤りを指摘したりするスタイルを取っている。容疑者の発言中の矛盾は、文中に書かれている現場の状況との不適合、一般常識からかけ離れた発言などから指摘することができるため、推理クイズなんてとてもとてもという人でも注意して問題文を読めば解くことが出来るだろう。
 日本での推理クイズとなると、どうしてもトリック中心のクイズとなってしまい、ときには読者の存在を無視してしまうトリック発表会みたいな形になってしまうが、リプレイ、ウェバー、そして本書のソボルはあくまで文中の矛盾を解き明かすクイズなので、初心者にも入りやすいし、クイズとして解こうという気に誘われる。日本でもこういう推理クイズ集を読んでみたいものだ。

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