『あなたも名探偵 アリバイを崩せ!』
完全犯罪に仕組まれた奇抜なトリック
著者:ミステリー作家クラブ
ミステリー作家クラブ:既成の推理小説の形式にとらわれず、自由な発想のミステリーを想像しようと、様々なアイディアに挑戦する若手推理作家のグループ。現在、会員は十余名。短編アンソロジー、連作ミステリーなどの企画を予定している。
日本文芸社 にちぶん文庫
発売:1999年7月25日初版
定価:495円(初版時)
一編のよくできたミステリーは、一本の極上のワインにもまさる−。
誰が言ったのか忘れましたが、なかなか含蓄のある言葉ではありませんか。
この本には、ごく短いミステリーをパズル形式にして掲載してあります。選りすぐったものばかりですから、そのまま長篇ミステリーにしても、どれもじゅうぶんに面白い作品になるでしょう。
謎解きの探偵役はあなたです。
各問題に巧妙に仕組まれているトリックを見破ってください。あるいは、隠されたメッセージを解読してください。そして、ホームズやポアロ、金田一耕助のように、見事な推理で事件の全容を解明してください。
きっと、極上ワインを味わった後にもまさる満足感があなたを包むことでしょう。
1999年6月
【目 次】
第1章 トリックの盲点
第2章 死者の残した謎のメッセージ
第3章 謎だらけの事件の真相
第4章 犯人とその殺害方法
第5章 鉄壁のアリバイの矛盾点
若手作家グループが書き下ろした推理クイズ集34問。執筆は、藍木訓、いちかわ・さとし、大場惑、岡本賢一、嘉祥マーシ、加瀬正二、是方那穂子、庄村敦子、創田仁、夏野百合、矢島誠、矢矧零士の12名。
タイトルは『アリバイを崩せ!』とあるが、全ての問題がアリバイ崩しというわけではない。目次にもあるとおり、ダイイング・メッセージや凶器トリックなど、色々なトリックが仕組まれている。
「選りすぐったものばかり」とまえがきにはあるものの、古今東西の推理小説で用いられたトリックの焼き直しが多い。また、推理クイズならまだしも、長編にはちょっと使えないようなトリックも多い。新味のあるトリックを案出するのは難しいだろうが、ここまで大きく出られてもちょっと困りものである。
1990年代は、このような若手作家が集まった推理クイズ集が数多く出版された。若手作家からしたら実践の場であるし、出版者側からみても安い(と思われる)原稿料で出版できるというメリットがあったと思われる。若手一人ではとても売れないが、人数さえ集まればそれなりのクラブ名を付けてごまかすことができるからである。
統一した探偵、刑事が登場するわけでもなく、ただの寄せ集めの推理クイズ集である。
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