山口琢也『現場から推理する』
(若木書房 ヤマタクのパズルシリーズ8)



『現場から推理する』


 『現場から推理する』

 著者:山口琢也
(おもに少年雑誌を中心に、ギャグ、クイズ、パズルなどを出題。著書は10冊以上になる)

 発行:若木書房 ヤマタクのパズルシリーズ8

 初版:1974年12月25日

 定価:400円(ただし、1976年4月10日、第4刷時)




 この本では、推理の中でも、とくに現場の状況から判断するものをテーマにし、材料としては、動物などのおもしろい習性や、常識のだいぶ先に存在するような超自然的現象などをもとりあげてみました。そして、これらを謎という言葉でまとめて考えたわけです。
 そのねらいは、まず「手がかりは現場にある」という犯罪捜査の鉄則をもう一度ふまえていただくため、そして次に、謎というのは、こんなにも広く際限ないものなのだ、ということをわかっていただくためです。
 よく、推理小説のダイゴ味は謎ときのおもしろさにあるといわれます。これはクイズのかたちになっても同じですが、その謎ときのスタートは、どんな場合でも現場です。現場の状況から、そこで誰が何をどうしたのかという、わからない部分が「謎」となり、そこから推理がはじまるわけで、それだけにその現場の状況は大切なわけです。
 次に、この状況から、何がどう発展してゆくか、ということです。これが、出された「謎」をとく、ということです。そしてこれには、考えられる様々なこと、考えもつかないたくさんのことが、かかわってくるわけです。いってみれば、この本は、そのもっとも根本的で、じつは大切なことをとりあげてみたわけです。
 前おきはこのぐらいにして、さあ、チャレンジしてみてください。

(「この本の楽しみかた」より)



 全部で50問。ヤマタククイズシリーズが好評だったことから、続いて企画されたパズルシリーズ。本巻はタイトルにあるとおり、現場の状況から犯人や犯行手段、凶器などを当てるクイズがそろっている。
 問題は易しいものや他の推理クイズでよく見られるトリック、逆にかなりの想像力を要するものまで、広範囲にわたっている。よくネタがつきないものだと感心するのだが、さすがにこれをクイズにするのかよ、みたいなものもある。この創作力、さすがクイズ作家として一世を風靡しただけある。

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