山口琢也『これは犯人か』


山口琢也『これは犯人か』
(若木書房 ヤマタクのパズルシリーズ9)




『これは犯人か』


 『これは犯人か』

 著者:山口琢也
(おもに少年雑誌を中心に、ギャグ、クイズ、パズルなどを出題。著書は10冊以上になる)

 発行:若木書房 ヤマタクのパズルシリーズ9

 初版:1975年5月1日

 定価:400円(ただし、1976年4月10日、第2刷時)




 この本では、探偵雑学とでもいうような、知っておいたほうがよい、いろいろな知識をあつめてクイズ・パズルにしました。
 なかでも、現代の科学捜査と、法律についての知識に重点をおいています。これによって、皆さんは、まず、おどろくべき進歩を続けている現代の科学捜査を知るわけですが、ここで考えていただきたいことは、科学捜査の技術はこれからもっともっと進歩を続けるだろうということです。そして、それは、ますます頭脳的になっていく犯罪とおいかけっこをして、進歩してきているにしても、根本には、犯罪をこの世からなくすために、とどまってはならない“進歩”の道をつき進んでいるのだということです。だから私は“進歩を続ける”という言葉を使ったわけで、この世の中に犯罪があるかぎり、進歩をとげることはないわけなのです。
 次に身のまわりのいろいろなこと、もしかしたらおかしているかもしれない罪について皆さんは新たな認識をもたれるだろうと思います。
 法律とは何か、犯罪とは何か、これはとてもむずかしことです。しかし、この本ではそれはさておいて、とりあえず社会の中での自分の生活、自分もめいわくをかけられず、人にもめいわくをかけない生活、そのための最低のきまりだと考えてください。そして、クイズをといて、知識を得たあとでも、やってはいけないことはいけないのだ、自分がやられていやなことは人もやられたいやなのだ、と考えてかんらずルールを守る人間になってほしいのです。

(「まえがき」より)



 全部で45問。ヤマタククイズシリーズが好評だったことから、続いて企画されたパズルシリーズ。本巻はまえがきにあるとおり、現代の科学捜査、法律についての知識に関して、問題文から三択形式で答えるスタイルになっている。
 三択クイズとなっているが、三択の中には「におい担当の刑事がいる」とか、「なめてみれば火薬反応がわかる」など、絶対違う答えだとわかるものが含まれているので、どれが正解かはすぐわかるに違いない。むしろ本書はクイズを通して、法律や現代の科学捜査をわかりやすく教えることが主目的である。楽しい問題とイラストを通して、法律や科学捜査が子供たちにわかれば満足であろう。最近は、こういう本が少なくなった。

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