橘外男ワンダーランド(中央書院)



【橘外男】
 橘外男(たちばな そとお)は1894(明治27)年石川県生まれ。生後まもなく軍人だった父の転任地・高崎に移る。軍人家庭の厳しい躾に反発、中学を退学処分となり、札幌の叔父のもとに預けられる。その後、貿易商館、医療機器店など職を転々とするが、1936(昭和11)年『文藝春秋』の実話募集に「酒場(バー)ルーレット紛擾記(トラブル)」が入選、38(昭和13)年「ナリン殿下への回想」で第七回直木賞を受賞。戦時中は満州に渡って書籍配給会社などに勤め、戦後、文筆活動を再開、独特の文体で数々の名作を生む。59(昭和34)年死去。主な作品に「妖花イレーヌ」「陰獣トリステサ」「青白き裸女群像」「私は前科者である」「ある小説家の思い出」などがある。
(著者紹介欄より)


【橘外男ワンダーランド】
 1994年7月より、中央書院から出版された。定価は2,000円〜2,300円。ただし、消費税3%込みの値段である。
 “永遠のエンターテイメント作家”橘外男没後35周年記念ということで、責任編集は山下武。解題も全て山下武が担当している。ただ、満州放浪篇の帯のみ、「戦後50年」特別企画と書かれている。
 [第T期全6巻]とあり、そちらは無事に完結したが、第U期は今も刊行されていない。著者紹介欄にもあった「青白き裸女群像」「私は前科者である」「ある小説家の思い出」や「神の地は汚された」「見えない影に」など、収録されていない作品は多い。
 リストの方にあるように、巻数の表記はない。ただ、帯にある惹句が面白いので、そちらも載せることにした。



巻 数 タイトル 初 版 収録作品
怪談・怪奇篇 ゾッとする不思議な話 1994/7/29 「逗子物語」
「蒲団」
「生不動」
「仁王門」
「亡霊怪猫屋敷」
人獣妖婚譚篇 この世のものとも思えぬ話! 1994/11/28 「令嬢エミーラの日記」
「怪人シプリアノ」
「陰獣トリステサ」
「マトモッソ渓谷」
「女豹の博士」
幻想・伝奇小説篇 美しくも哀しい話 1995/4/3 「ウニデス潮流の彼方」
「グリュックスブルグ王室異聞」
「ナリン殿下への回想」
満州放浪篇 忘れ得ぬ苦い話 1995/8/7 「新京・哈爾賓赤毛布」(三部作)
「甘粕大尉とその子分」
「麻袋(マータイ)の行列」
「思い出の満鉄マン」
「黒龍江(アムール)の空に」
ユーモア小説篇 性懲りもない話 1995/12/4 「男色物語」
「桃色機密室(ブラックチェンバー)闖入記」
「葛根湯」
「雷嫌いの話」
「或る千万長者と文士の物語」
怪談・心霊篇 鬼気迫る妖しい話 1996/6/10 「墓が呼んでいる」
「棚田裁判長の怪死」
「帰らぬ子」
「棺前結婚」
「人を呼ぶ湖」
「飛騨の妖怪」


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