死刑囚の歴代収容期間





 長期収容された死刑囚のリストです。
 1985年に平沢貞通死刑囚は、死刑が確定してからの収容期間が30年を超えたことから「死刑の時効が成立する」として釈放を求める人身保護請求の裁判を起こしましたが、「拘置中の死刑囚には時効は進行しない」として棄却されました。死刑囚が30年も収容されるなんて、法律を作った人は誰も考えなかったでしょう。
 しかし今では50年以上収容されている死刑囚がいますし、30年以上執行されていない死刑囚も複数います。ということで、30年以上収容されている死刑囚のリストを作ってみました。
 本来なら最高裁で上告が棄却されたのち、判決訂正申立が棄却、もしくは申立せずに期限がきた日にちが死刑囚として確定したことになるのですが、そこまでは調べきれないので、上告審等で結果が出た日を死刑囚として確定した日としてみています。2週間~1ヶ月程度のずれなので、その点はご了承ください。現在も収容中の死刑囚については、年齢も含め2024年1月1日時点でのものとなります。
 なお、逮捕後の勾留期間も含むと、尾田→坂口→渡邉→関口の順となり、この4人が50年以上となります。

  名 前 年 齢 事件日 事件名 死 者 確 定 現 状 収 容 逮捕後 備 考
1 尾田 信夫 77歳3月 1966/12/05 マルヨ無線強盗殺人放火事件 1名 1970/12/10 拘置 53年0月 57年0月 再審請求中。
2 大濱 松三 95歳6月 1974/08/28 ピアノ騒音殺人事件 3名 1976/10/05 拘置 47年2月 49年4月  
3 奥西 勝 89歳8月 1961/03/28 名張毒ぶどう酒事件 5名 1972/07/04 病死(2015/10/04) 43年3月 49年10月 一審無罪。
第七次再審請求開始決定→取り消し。
第九次再審請求終了。
遺族による第十次再審請求棄却。
4 片岡 利明 75歳7月 1971/12/12~1975/05/19 連続企業爆破事件 8名 1987/03/24 拘置 36年9月 48年7月 再審請求中。
5 渡邉 清 75歳9月 1967/04/24~1973/03/20 連続4人殺人事件 4名 1988/06/02 拘置 35年7月 50年7月 事件当時少年。再審請求中。
6 関口 政安 81歳10月 1970/02/13~1973/04/15 「殺し屋」連続殺人事件 3名 1989/10/13 拘置 34年2月 50年4月 再審請求中。
7 金川 一 73歳5月 1979/09/11 熊本・免田町主婦殺人事件 1名 1990/04/03 拘置 33年9月 44年3月 少年時強盗殺人前科。
再審請求中。
8 袴田 巖 78歳0月 1966/06/30 袴田事件 4名 1980/12/10 再審決定、釈放(2014/03/27) 33年3月 47年7月 再審無罪が2024年10月に確定。
9 平沢 貞通 95歳2月 1948/01/26 帝銀事件 12名 1955/05/06 病死(1987/05/10) 32年0月 38年8月 第十八次再審請求棄却。
10 佐々木 哲也 71歳3月 1974/10/30 市原両親殺人事件 2名 1992/01/30 拘置 31年11月 49年1月 再審請求中。
11 佐藤 誠 81歳9月 1950/04/13 牟礼事件 1名 1958/09/05 病死(1989/10/27) 31年1月 37年0月 第八次再審請求棄却。
12 坂口 弘 77歳1月 1971/02/15~1972/02/28 連合赤軍事件 17名 1993/02/19 拘置 30年10月 51年10月 再審請求中。
13 大道寺 將司 68歳11月 1971/12/12~1975/05/19 連続企業爆破事件 8名 1987/03/24 病死(2017/05/24) 30年2月 42年0月 第五次再審請求終了。



(2024年5月3日記)



【参考資料】
 新聞記事、週刊誌多数
 裁判所
 インパクト出版会編『年報・死刑廃止』シリーズ(インパクト出版会)
 村野薫編『日本の死刑』(柘植書房)
 折原臨也リサーチエージェンシー


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