ノンフィクション作家・高嶺隆一郎は真犯人に直接インタビューする手法をとっていた。埼玉県の久喜市で起きている連続失踪事件を調査するなかで、15年前の同様の事件との関連性が浮かび上がる。月曜日に女が消えること、現場に「ユダ」「ユダの息子」のメモが残されること。犯人はまた「少年A」なのか。(粗筋紹介より引用)
1998年11月、文藝春秋より刊行。●●者シリーズの1冊。
『冤罪者』に続く折原的社会派風ミステリ。今回は構成こそ細工しているものの叙述トリックはなし。神戸連続児童殺傷事件を一部モデルにしており、少年法という当時世間をにぎわしていた命題への折原的アプローチが楽しめる。しかし、折原にしてはちょっとわかりやすく作っていたせいか、最後がどうしても見え見えなのが残念。
個人的には少年法の改正が必要と考える立場。精神が未熟だとか色々言ったって、ナイフで刺せば人が死ぬことぐらいはわかるだろうし、人を傷つけると言うことが悪いことだというのは当たり前のことである。たとえ少年だといっても、厳しく処罰すべきだと思う。別にそれは見せしめでも抑制でもない。人を殺すということはそれだけ重いことであることをわからせるには、少年院の期間というのはあまりにも短すぎると思う。まあ、刑務所にしても少年院にしても、人が矯正する場所としてはまだまだ不十分だとは思うけれどね。いっそのこと、少年犯罪者はみんな自衛隊に突っ込めば面白いんじゃないか(笑)。
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