福田洋『強殺―連続八人殺害広域捜査105号事件』(講談社)




 広域指定105号事件、古谷惣吉連続殺人事件のドキュメンタリーノベル。1980年5月30日、講談社より書き下ろし刊行。
 事件の概要については、中村光至『広域指定105号事件』(ケイブンシャ文庫)の方に記載しているので、そちらを見てほしい。
 古谷は判明しているだけでも10名を殺害。他に起訴されなかったが、2名を殺害しているとされる。これは帝銀事件を除くと、個人として戦後最大の数字である。1978年最高裁で死刑確定。1985年5月、死刑執行。71歳没。死刑囚の執行時年齢としては、2006年12月まで最高齢であった。
 中村光至作品は事件を警察側から記したものであったが、本作品では警察、犯人の双方の動きを書いている。時系列で両者の動きが書かれていることから内容はわかりやすいのだが、ただ事件を追っているのに過ぎないことから、物語としての深みや迫力という点では今一つである。どのような事件だったかを把握するには、ちょうど良い作品かも知れない。ただ、間違っているところも何か所かあったので、注意する必要がある。

【参考資料】
 福田洋『強殺―連続八人殺害広域捜査105号事件』(講談社)


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