1996年 10,000円で選ぶベスト・ミステリ




 これは、創元推理倶楽部通信で企画された「10,000円で選ぶベスト・ミステリ」に投稿した原稿です。10,000円(消費税除く)以内でベストを選ぼうという企画でした。ベストの選択に、当時の私の好みが出ていて、個人的に興味深いです。


1.馳星周『不夜城』(角川書店) 1,500円
 平成以後のミステリでもベスト5には入るでしょう。この作品に共感できない人とは友達になりたくないですね((C)花村萬月)。


2. 倉知淳『星降り山荘の殺人』(講談社ノベルス) 880円
 見事に騙されたという事で。


3.東野圭吾『名探偵の掟』(講談社) 1,600円
 思いきり笑わせていただきました。活躍度でいえば東野圭吾が1996年のトップでしょう。


4.いしいひさいち『わたしはネコである殺人事件』(講談社) 800円
 ミステリかどうか悩みますが、「殺人事件」がついてるからミステリに入れても大丈夫でしょう。いしいは笑えます。ぜひ読んで下さい。


5.ディック・フランシス『敵手』(早川書房) 2,000円
 シッド・ハレー復活を祝して。フランシスのハレーは大藪春彦の伊達邦彦同様、登場するだけで傑作が約束されています。


次点. 清涼院流水『コズミック』(講談社ノベルス) 1,400円
 次点になっていますが、「コズミック」はベストに入れる度胸がないだけです。


 1996年、一番嬉しかったことは『日本探偵小説全集』が奇跡の完結をしたこと。悲しかったことは、大物作家の突然の死が多かったことです。

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