1997年度私的日本ミステリベスト10


1. 馳星周『鎮魂歌-不夜城II』(角川書店)

 1位はこれしかない。新宿物を離れたときが、馳星周の勝負ですね。

2. 飯田譲治+梓河人『アナザヘヴン』上下(角川書店)

 飯田譲治は元々凄い才能がある人だと思っていましたが、今回の『アナザヘヴン』にはぶっとびました。これはホラーの傑作です。掲載誌が『小説ASUKA』ということもあってか大分損をしているようですが、是非ともご一読下さい。ノンストップで上下本を読める小説なんて、なかなかありません。


3. 貴志祐介『黒い家』(角川書店 第4回日本ホラー小説大賞受賞作)

 人の狂気だけでこんなに怖い話を書けるなんてと思わず感嘆してしまった。『ミザリー』よりも怖いという帯の評に偽りなし。

4. 篠田真由美『原罪の庭』(講談社ノベルス)

 評論家にほとんど評価されていない篠田真由美。『原罪の庭』みたいな人を泣かせる本格ミステリはありません。しかし、これほどの傑作を評論家たちはまったく認めようとしません。困ったことです。桜井京介が同人で人気があるからといって無視してしまうようでは、見る目がないと言われても仕方がないでしょう。


5. 加納朋子『ガラスの麒麟』(講談社)

 加納朋子の短編集は相変わらず巧いです。


6. 北森鴻『狐罠』(講談社)

 北森鴻は元々巧い作家だったのですが、その膨大な調査量と小説がなかなか噛み合わないことがありました。しかし本作は違います。骨董業界を徹底的に調査した上で、面白い作品を仕上げました。次作が楽しみな作家がまた増えました。


7. 京極夏彦『嗤う伊右衛門』(中央公論社)

 京極堂シリーズはそれほど好きじゃないのですが、この本は傑作です。泉鏡花賞を受賞するのも納得できます。あの分厚いシリーズを好まれない方も、この本だけは読むべきです。


8. 本格推理マガジン『硝子の家』(光文社文庫)



9. 帚木蓬生『逃亡』(新潮社)



10. 黒川博行『疫病神』(新潮社)



次点.坂東眞砂子『山妣』(新潮社)



次点.宇神幸男『ヴァルハラ城の悪魔』(講談社ノベルス)





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