ダイイング・メッセージは歩
【問 題】
独身のサラリーマンがアパートの自室で殺されていた。どうやら将棋のプロの棋譜を並べていたらしく、将棋盤の周りに駒が散らばっていた。そして被害者は、右手に「歩」の駒を一つ握っていた。どうやら犯人の手がかりを残すつもりだったのだろう。
捜査の結果、被害者の知人である三人の容疑者が浮かんだ。いずれも被害者に恨みを持っていたらしい。
・前川史郎:タクシーの運転手
・東山誠司:メッキ工場の工員
・中村正雄:スーパーの店員
刑事は三人がいずれも将棋の駒や歩に関係なさそうなので、首をひねった。
しかし、被害者が歩を裏返しにして握っていたことに気づくと、刑事は誰が犯人かわかったのだ。
さて、犯人は誰か?
【解 答】
犯人は、メッキ工場の工員である東山誠司である。
歩は敵陣の三段目に入ると裏返って金になる。歩の裏側に書かれている文字が、ひらがなの「と」に似ているため、「と金」と呼ばれている。
「と金」→「鍍金」(もしくは「塗金」)となり、「鍍金」はメッキのことである。被害者は犯人の職業を暗示するつもりで、とっさに歩をつかんだのだ。
【覚 書】
日本語ならではのダイイング・メッセージであり、おそらく藤原宰太郎のオリジナルと思われる。
※解答部分は、反転させて見てください。
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