水墨画の嘘


【問 題】
 台湾への旅行での自由時間、私はツアーコンダクターと一緒に趣味の骨董店に立ち寄ると、目を引いた水墨画の掛け軸があった。
 一緒に入ってその掛け軸を見ると、「峠之茶亭」という画題がついている。幽谷を見下ろす山道の峠に、朽ちかけた中国風の茶店があって、弁髪の旅人が縁台に腰かけてお茶を飲んでいる水墨画であった。周文伯という落款があった。
「周文伯っていつ頃の画家ですか」
 コンダクターの通訳を介して店主に聞くと、どうやら清中期の画家で、250年ぐらい前の作品らしい。聞いたことのない画家であったが、興味を惹かれたので値段を聞いてみると、日本円で40万円だという。
 私は買おうかどうか悩んでいたが、コンダクターはこう言った。
「あれは偽物だから、止めた方がいいですよ。日本人観光客向けに作られたものです」
 コンダクターは絵の鑑定家でもないのに、なぜわかったのだろう。


【解 答】
 「峠之茶亭」という画題であるが、「峠」は国字である。日本で作られた漢字だ。清の時代に中国人の画家がこんな画題を付けるはずがない。

【覚 書】

 この手のトリック?も、藤原宰太郎の推理クイズ本には時々見かける。小中学生向けにはちょうど良いかもしれない。

 ※解答部分は、反転させて見てください。
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