なぞの盗難事件


【問 題】
 大金持ち、A氏はガチャンという音で目が覚めた。なにかが倒れた音だ。どうやら書斎かららしい。急いで行ってみると、窓が開いている。窓から外を見ると、50cmぐらいの細長いものを風呂敷で包んだ泥棒が走り去っていった。慌てたA氏はすぐさま警察に電話を入れ、泥棒が入ったことを伝えた。電話が終わったところで気が付いた。50cmぐらいの細長いものといえば、1ヶ月前に手に入れた国宝級の金の仏像と同じサイズである。振り返ってみると、いつもの場所に仏像があった。一瞬ホッとしたが、もしかしたら偽物かも知れない。警察が来たら、すぐ調べてもらうことにした。
 そして翌日。警察の知らせで、仏像を売った骨董屋が駆けつけた。さっそく鑑定してもらったが、仏像は本物であるという。警察は念のため鑑定を行ったが、確かに本物だった。他にも盗まれたものは全くない。しかし、泥棒が入った痕は歴然としていた。
 いったい、この事件の真相は何なのだろうか。



【解 答】
 忍び込んだ泥棒は、実は骨董屋だった。1ヶ月前にA氏に売った仏像は、骨董屋も気付かなかったが、実は偽物だった。後でそのことに気付き、本物を入手したが、今更偽物だったと言って変えてもらうのは骨董屋のプライドが許さない。それに、このことが周囲に知れたら、骨董屋の評判はがた落ちである。そのため、わざわざ忍び込み、本物とすり替えたのだ。

【覚 書】

 元々は『頭の体操』で見ました。しかし、乱歩『続・幻影城』にも似たような話が載っています。“意外な動機”という設定として、面白いクイズだと思います。

 ※解答部分は、反転させて見てください。
 ※お手数ですが、ブラウザの「戻る」ボタンで戻ってください。