葉巻の灰


【問 題】
 たった15分前、フランクリンが殺された。犯人はタッグのやつに決まっている。二人はいつも言い争いをしていた。しかしタッグは頭がいい。アリバイを用意しているだろう。私は、タッグの部屋をノックした。中から出てきたのは、ブロンドの美女だった。
「タッグに会わせろ」
 奥のソファにタッグは座っていた。左手には、既に四分の三が灰になった葉巻を持っている。やつは葉巻が大好物なのだ。
「それだけ吸っても灰が落ちないとは、かなり上等の葉巻だな」
「私は葉巻だけは贅沢しているんでね。ところで何のようですか」
「フランクリンが殺されたんだ」
「なるほど。私が犯人だと思ったからここへ来たんだ。いったいいつ殺られたんです」
「たった15分前だよ」
「そうですかい。あいにく私は何も知らないな。30分以上も前からここにいて、葉巻を吸いながらドドを待っていたんだから。今日は映画に行くはずだったんだ」
「ええ、そうよ」
 部屋に居たブロンドの美女がドドだった。
「なるほどね。ただ、ここからフランクリンがやられた店は、たったの5、6分だ。やって戻ってくるだけの時間は十分にあるね」
「冗談言っちゃいけねえ。オレはここから一歩も動いていませんよ。この葉巻を見て下さい。上等の葉巻をこれだけ吸うには、30分はかかりますぜ。15分やそこらで、あの店へ行くことなんかできませんよ」
 確かに、あれだけの灰になるには30分以上かかるだろう。私は、タッグが灰皿に置いた葉巻を取りあげ、じっと吸い口をにらんでいた。
「タッグ、アリバイを作ったつもりだろうが、失敗したようだな。なんだ、この葉巻の吸い口は」
 タッグはきょとんとしていたが、ある事実に気付き、一気に青ざめてしまった。自供したも同然である。
 私は、タッグのアリバイをどうやって崩すことができたのだろうか。


【解 答】
 葉巻の吸い口に口紅がついていたのだ。つまり、葉巻はブロンドのドドが吸っていたわけだ。タッグにはアリバイがない。

【覚 書】

 実際の短編(だと思う)はどんな話だったのか見てみたいですね。クイズとしてはあまりにもお粗末です。元ネタはエドガア・ウォーレス「葉巻の灰」です。

 ※解答部分は、反転させて見てください。
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