ずぶぬれの犯人
【問 題】
江戸の岡っ引き、平蔵が夜道を歩いていると、橋の向こうで「人殺し~」という娘の声が聞こえてきた。慌てて駆け付けると、男が娘を匕首で刺したところだった。平蔵は十手を片手に男を追いかけたが、男は橋から川へ飛び込んで逃げた。平蔵が女を介抱したが、女は「犯人は、佐賀町の、いろは長屋の、松……」と言ったきり絶命した。
女の死体を駆け付けてきた下っ引きにまかせ、平蔵はすぐに佐賀町のいろは長屋へ向かった。そこの大家に話を聞くと、大工の松吉、手相見の松助の二人がいることがわかった。
二人ともいろは長屋にいた。大工の松吉は、結った髷がちょっと横を向いて、いなせな男である。手相見の松助は坊主頭で、目つきが鋭い男だ。犯人は、どちらだろう。
【解 答】
犯人は手相見の松助である。
犯人は川へ飛び込んだのだ。当然ずぶ濡れになっている。平蔵はすぐに追いかけてきたのだから、体を拭いたり着替えたりする時間ぐらいしかなかったはずだ。もし大工の松吉が犯人だったら、当然髷も濡れて、形が崩れていたはずだ。ドライヤーのない時代である。髪はすぐに乾かないだろし、髷を結い直すこともできなかったはずである。
坊主頭の松助だったら、手ぬぐいで頭を拭けば、すぐに乾いてしまう。濡れた服は床の下に隠していた。
【覚 書】
これも誰かの犯人当てで書かれそうな問題。わかりやすくていいと思います。
※解答部分は、反転させて見てください。
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