恐怖の爆破計画
【問 題】
東京行きのジャンボ旅客機が、ロサンゼルス空港を飛び立って十五分後に、空港の管制塔に脅迫電話がかかってきた。
「あのジャンボ機に爆弾を仕掛けたぜ。離陸して十分後に、タイム・スイッチが作動して、今度着陸するとき、高度2,000mに降下したら、気圧の変化で自動的に爆発する特殊爆弾だ。乗客もろとも、機体は木っ端みじんだぜ。爆弾の位置を教えてほしかったら、1億ドルを用意しろ」
と、犯人は脅したのである。
管制塔からこの緊急連絡を受けた機長は、一瞬愕然とした。
いまジャンボ機は、高度10,000mを飛行中である。2,000mで爆発するなら、もう二度と、この飛行機は着陸できないことになる。そうかといって、このまま跳び続けても、燃料がなくなると墜落してしまう。まさに死の飛行だった。
機長は副操縦士や客室アテンダントに命じて、乗客の荷物や機内を調べさせたが、爆弾は見つからない。
「機長、もはや絶体絶命です。どうしますか?」
副操縦士が心配すると、
「なぁに、心配はいらん。おれにまかしておけ。それにしても、まぬけな犯人だ」
機長は何を思ったのか、急にニッコリ笑って、飛行機の進路を南へ変えたのである。
そしてある空港に近づくと、高度を7,000、6,000、5,000、4,000……とぐんぐん下げて、ついに無事、緊急着陸に成功したのである。
あとで機内を点検してみると、気密装置のない尾翼部に特殊爆弾が仕掛けてあるのが見つかった。念のため実験してみると、犯人の脅迫通り、高度2,000mで爆発したのである。
では、このジャンボ旅客機は爆発もしないで、一体、どういう風に着陸したのだろうか?
【解 答】
高度2,000mに降下して爆発するのなら、それより高いところに着陸すればよい。例えば、メキシコ市の国際空港。メキシコ市は海抜2,200~2,300mの高原にあるし、空港はさらに高い位置にある。ここなら爆弾は破裂しないで、旅客機は無事に着陸できるのである。
機長はメキシコ空港の標高を思い出して、咄嗟に進路を南へ変えたのだった。
【覚 書】
藤原宰太郎の推理クイズ本にはよく載っているものですね。ちなみに高度3,000mで爆破という問題もあります。
情報を頂きました。1966年に放映されたアメリカのテレビ映画「夜空の大空港」(監督ウィリアム・A・グレアム、脚本ロッド・サーリング)で、高度1万フィート(3,048メートル)以下に降下すると爆発する爆弾を仕掛けられた飛行機という設定等が出てくるとのことです。有り難うございました。
※解答部分は、反転させて見てください。
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