不思議な自殺


【問 題】
 豪華客船の部屋の中で、男が撃たれて死んでいた。扉や窓は開いていたものの、そばにリボルバー式の拳銃が落ちていたことから、最初は自殺かと思われた。ところが拳銃には、男の指紋が付いていなかった。念のためパラフィンテストをしてみると、男の手や腕には硝煙反応が見られなかった。そのため警察は他殺と判断し、捜査が始まったのだが、客船には男との知り合いが誰もいなかったし、男に恨みを持つものも当然いなかった。客船から逃げ出した人はいない。捜査は難航した。
 実際は、借金で首が回らなくなった男が自殺したものだった。では男はどうやって拳銃に指紋を付けず、そしてパラフィンテストを逃れることができたのだろうか。


【解 答】
 男は手に薄いビニル袋を被せ、拳銃の引き金を引いたのだ。ビニル袋には風船がつけてあった。ビニル袋がついた風船はそのまま窓からどこかへ飛んでいった。

【覚 書】

 鑑定技術がどこまで進んでいるのかわからないので、実際に可能なのかはわかりませんが、トリックとしては単純で面白いと思います。

 情報をいただきました。後に作者自身が『多摩湖山荘殺人事件』でこのトリックを使用しているとのことです。ということは、このトリック、藤原宰太郎自身のオリジナルかもしれません。

 ※解答部分は、反転させて見てください。
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