医者殺しがばれた


【問 題】
 ある冬の日、俺は誤って回診中の医者を轢き殺してしまった。このままではまずいと思った俺は、医者の死体と鞄を車で運んで家に戻り、地下室に入れた。そして上から石油ストーブを2つ持ち出し、ガンガンかけた。死体を温めれば、死亡時間を実際より前にごまかすことができる。轢き殺す前、俺はパーティーに出ていたから、不特定多数の人物に目撃されているはず。アリバイは成立する。
 丸一日経った後、男は死体を別の道路に放り出した。もちろん、持っていた鞄も一緒だ。一安心した俺は、車を修理に出した。
 ところが俺は捕まった。なんでもアリバイ工作は一発で見破られていたらしい。なぜだろう。


【解 答】
 鞄の中に水銀体温計が入っていたのだ。そして体温計は42℃に上がっていたのだ。医者ならば使った体温計は元に戻すはず。ましてや42℃では死亡もありうる体温だが、そのような患者はいなかった。水銀体温計は、一度上がってしまうと、振らない限り元に戻すことはできない。だから警察は、死体が暖められたことに気付いたのだ。

【覚 書】

 フリーマンかクロフツの短編にあったはずですが、思い出せません。

 情報をいただきました。甲賀三郎「体温計殺人事件」でこのネタが事件を惑わすものとして使われていました。この推理クイズのように単純なものではありません。理化学トリックが得意な甲賀三郎らしいものです。有難うございました。

 ※解答部分は、反転させて見てください。
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