微笑する悪魔
【問 題】
暴力団のA組とB組が対立するこの繁華街。A組の組長はボディガードの俺とともに、繁華街にある料理屋に来ていた。たらふく食べ、たらふく飲み、しかも料理屋の美人のママに迫ったり和服の裾に手を入れたり、とやりたい放題。さらに帰るときは、土産として酒を持って来いという始末。今まで勘定がたまっているのに図々しいと俺は思ったが、ママは何も言わず、高級ウィスキーの角瓶を持ってきた。喜んで持って帰ろうとした組長だったが、ママに向かって「一杯飲め!」と言いだした。はっきり言えば毒見だ。しかしママはキャップを外すとウィスキーをグラスに注ぎ、グイ、っと飲み干した。ママに異常はなかった。「うん、世話をかけたな」と組長と俺は料理屋を出た。
少し歩いていると、B組のチンピラがナイフを持ち、組長めがけて突っかかってきた。酔っ払っていてもそこは組長、持っていた角瓶を振りあげ、横に払った。ひるんだチンピラへ迫り、俺は足払いでそいつを地べたに叩きつけた。俺は駆けつけた警官にそいつを引き渡した。
「サツが手入れを始めれば、B組は終わりだ。めでてえ。前祝いだ!」
事務所に戻った組長は角瓶のキャップを開け、そばにあったグラスに注ぎ、一気に飲み干した。その瞬間だ。組長は血を吐き出し、呻きながら倒れて死んだのだ。組長は、毒を飲まされたのだ。
料理屋の飲み物や食い物は俺も一緒に食べたから、そいつに毒が入っていたわけじゃない。俺の組のグラスに、毒が塗っているはずがない。となると、毒が入っていたのは、料理屋のママが土産に持ってきた、このウィスキーの角瓶しかない。しかし、ママはこの酒を飲んでいるが、無事だった。
では、この毒殺の真相は。なお、毒の入ったカプセルを飲まされたわけではない。
【解 答】
ママは、角瓶のキャップの裏に毒を塗ってあった。だからママが毒見をしたときは、ウィスキーには毒は入っていなかった。チンピラが襲ってきて組長が角瓶を振り上げたとき、キャップの裏に会った毒がウィスキーと混ざったのだ。もちろんママとB組はつながっていたし、チンピラが組長を襲ったのもこの作戦の一環だった。
【覚 書】
本当にそこまでうまくいくかどうかは不明ですが、クイズとしては面白いもの。他の推理クイズ本でもたまに見かけるので、おそらく元ネタがあると思うのですが、わかりません。小説よりはクイズ向きのトリックですが。
※解答部分は、反転させて見てください。
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