マフィア親分の謎の死


【問 題】
 マフィアのアポネ親分は、タヒチにある別荘の海岸で、水着一枚で日光浴をしながら昼寝をしていた。買い物に出かけていた別荘の管理人夫婦が帰ってくると、アポネ親分は、砂浜にさしていたビーチパラソルの先の尖った柄で腹を串刺しにされて死んでいたのである。砂浜には誰もいない。犯人が逃げるときに慌ててぶつかったのか、椅子やテーブルもそこら中に転がっていた。
 しかし奇妙なことに、死体の周りには足跡が何一つ付いていなかった。いや、アポネ親分の足跡すら残っていなかった。犯人がほうき等で均したとも思えないし、そもそも親分の足跡まで消す理由はない。海岸線ははるか遠くなので、海から来たわけではない。
 では犯人は、どうやってアポネ親分を殺したのだろうか。当然のことだが、管理人夫婦は犯人ではない。また別荘には、他に住んでいる人や、客として呼ばれている人はいなかった。


【解 答】
 犯人は突風だった。砂浜に挿していたビーチパラソルが突風で飛び、偶然寝ていたアポネ親分の腹に刺さったのだ。水着一枚で寝ていて、服を着ていなかったため、柄で刺さったのが致命傷となったのだ。突風のため、親分の足跡も消えてしまったし、テーブルなども倒れていたのだ。

【覚 書】

 日本ではちょっと実現が難しいかな。ちなみにこれはほぼ実話です。アメリカの映画俳優グレゴリー・ペッグがホテルの海岸で寝そべっていたときに、同じような事件が起きました。こちらはわき腹を傷つけただけで終わったのが不幸中の幸いでした。セイントシリーズで有名なレスリー・チャータリスの短編「神の矢」でこれが使われています。

 ※解答部分は、反転させて見てください。
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