推理作家13人会『犯人探し推理ゲーム』


推理作家13人会『犯人探し推理ゲーム』
(二見書房 WAi-WAi文庫)




『犯人探し推理ゲーム』 『犯人探し推理ゲーム』

 著者:推理作家13人会

 二見書房 WAi-WAi文庫

 発売:1995年11月25日初版

 定価:500円(初版時 税込み)





 怪事件発生!
 ただちにパトカーに飛び乗り、赤色灯を掲げて、高らかに警報を響かせながら、現場に駆けつける。
 早くも集まりはじめた、物見高い野次馬の人たちを、制服の警察官がロープを張って規制している。
 僕たちは、そのロープをかいくぐって、生々しい犯行現場に踏みこんでいくのです。
 ただちに捜査開始!
 隠された手がかりを見つけだし、奇想天外なトリックを見破って、悪賢い犯人を、必ず逮捕しなければなりません……。
 よろしかったら、あなたも、ぼくたち三人と一緒に、推理を巡らせて、四十八の超難解な事件を、解決してみませんか?
 自己紹介が遅れましたが、僕は、藤原定男刑事。事件の解明に取り組むファイトと、体当たりで犯人逮捕をめざす行動力では、誰にも引けをとらないつもりです。もちろん、顔やスタイルだって、まあまあだと思っています。
 いつもコンビを組んでいる、小野町子刑事は、警視庁きっての美人と評判です。さらに、鋭い観察眼と明晰な頭脳の閃きには、感心させられます。ただ、少しばかり気が強すぎるところが、玉に傷でしょうか。
 紫式子警部は、ふたりにとって憧れの上司です。僕たちの捜査が暗礁に乗り上げて、困り果てたときにも、警部は、コンピュータ顔負けの豊富な知識と、抜群の推理力を発揮して、事件を解決してくれるのです。そのうえ、優しくて優雅で……。素晴らしい名刑事なのです。
 そして、この本を手にしている、あなたが、四人めのメンバーです。
 さあ、さまざまなトリックのエッセンスが、ぎっしりとつまった、四十八の難事件の謎に、僕たち三人とともに、チャレンジしてください。
 ルールは、フェア・プレーです。
 事件の解決のために必要な、手がかりや証拠など、僕たちが手に入れたヒントはすべて、問題編のなかで、あなたに提供することを約束します。
 いまから、あなたと僕たちは、仲間であり、ライバルです。どちらが先に、隠された鍵を見つけだし、事件の裏の謎を解き、真犯人を逮捕できるか、競争です。
 どの事件から手をつけて、どのようなテンポで、推理を進めるかは、あなたに、お任せします。
 ひとつずつ、じっくりと取組み、すべての事件を、あなた事件の手で解決していくのも、素晴らしいことですし、バラエティ豊かなトリックの、意外な展開を楽しみながら、どんどん、読み進んでいっても、面白いはずです。
 いずれにしても、読み終わるときには、クイズの楽しみとともに、きっと、僕たち三人のことを、好きになっていただけると思います。

(「はじめに」メンバーを代表して 夏野百合 より)


【目 次】
 第1章 仕組まれたトリックに挑戦!
 第2章 事件の不可解な謎を解け
 第3章 巧妙なアリバイをくずせ
 第4章 密室のカラクリを探れ
 第5章 闇の中の真犯人を探し出せ
 第6章 ダイイング・メッセージの秘密


 執筆者は矢島誠、新津きよみ、夏野百合、牧南恭子、高橋ななを、藍木訓、庄村敦子、創田仁、原田治、是方那穂子、兜木励悟、奈加村知子、いちかわ・さとしの13名。
 せっかく共通する3人の刑事を登場させながら、各執筆者によって性格付けがバラバラ。これではせっかくの配役が台無しである。もう少し事前打ち合わせをするべきであり、お粗末である。
 クイズの方であるが、既存のトリックからの引用が約半数、知識さえあれば推理の必要がないものが1/3と、解く方からしたら面白くない。機械トリックを用いたものは、問題の説明が不足しているため、解くことが出来ないものが多い。また解答そのものに首を捻るクイズも多い。たとえば毒ガスを使った問題があり、犯人はかつて製薬会社に勤めていたから取扱いに慣れている。だからって、どうやってガスを入れたんだよって突っ込みたくなるようなお粗末さである。
 少なくとも、謎解きの面白さはあまり詰まっていない一冊といえるだろう。


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