神戸児童連続殺傷事件から七年の年月が経ち、「少年A」が仮退院した。酒鬼薔薇聖斗の性的サディズムは、本当に克服されたのか!? 元東京少年鑑別所法務教官が、医療少年院で行われた極秘の贖罪教育・矯正教育といえる「少年A更生プロジェクト」の全容を初めて明らかにした、衝撃のレポート。(粗筋紹介より引用)
2004年4月、文藝春秋より単行本刊行。2006年4月、文庫化。
【目次】
序 章 入院
第一章 事件
第二章 審判
第三章 精神寮
第四章 生い立ち
第五章 疑似家族
第六章 贖罪
第七章 退院
第八章 十字架
今でも少年犯罪の代名詞となっている神戸児童連続殺傷事件の犯人、少年Aの更生プロジェクトを克明に記した一冊。
これを読むと、やはり加害者側の方が手厚く扱われているなあ、と思ってしまう。被害者も被害者遺族も、そして加害者家族も少年Aによって傷つけられ、切り刻まれ、さらにマスコミによる二次被害を受けたのに、肝心の加害者は少年医療院で更生のプログラムを受けるというのは、やはり納得いかない人も多いに違いない。「更生」とか「贖罪」とかあるが、結局普通に世の中で生きている、というだけの話。それこそ自分を犠牲にして被害者遺族に補償をするとか、社会のために貢献しようと努力するとか、そういう姿が見られれば少しは話が違ってきたと思う。
せめて、二度と少年Aのような人物を出さないような方法を世の中に広める、というのならまだ話は分かるが。この記録が、後にどこまで役に立ったのか、改善されてきたのか、そういうところまで書かないと、ただ公開しただけ、という一冊になってしまうだろう。
作者には悪いが、中途半端な一冊。記録するだけじゃダメなんだよ、と言いたい。
<ブラウザの【戻る】ボタンで戻ってください>