日本推理作家協会賞受賞作全集 第46巻
『壁・旅芝居殺人事件』皆川博子
- 初版:1998年11月15日
- 定価:400円+税(当時)
- 解説:新保博久
- 底本:『旅芝居殺人事件』(文春文庫)
収録作品
| 作者 |
皆川博子(みながわ・ひろこ) 1930年、ソウル生まれ。昭和48年に『アルカディアの夏』で第20回小説現代新人賞受賞。61年に『恋紅』で第95回直木賞を受賞。推理・時代・幻想怪奇に作品多数。『死の泉』で第32回吉川英治文学賞を受賞。 (作者紹介より引用) |
|---|---|
| 作品名 | 『壁・旅芝居殺人事件』 |
| 初出 | 1984年9月、白水社「日本風景論」の8冊目として書き下ろし刊行。 |
| 粗筋 |
芝居小屋桔梗座の最後の日、特別出演をした役者の立花が四綱渡りで落ち死んだ。そして奈落からは絞殺死体が発見される。じつは15年前の桔梗座でも、落下事件があり、奈落で殺人が起こり、役者が一人姿を消していた。小屋主の娘・秋子が時を隔てて起こった事件の真相に迫る。(粗筋紹介より引用) |
| 感想 |
一応ミステリの骨格で描かれているが、どちらかといえば幻想小説に近い仕上がり。役者ならではの執念といい、舞台にこだわる姿といい、人の心の奥底にある得体の知れない"何か"を見事なくらいに描き出している。主人公であり、事件の謎を追いかける芝居小屋桔梗座の秋子もまた、芝居と舞台の魔力に染められている。真実を求めようとするその姿は、四綱渡りを何としても披露しようとする立花知弘とダブってくる。人を狂わす何かが、芝居にはあるのだろう。 ボリューム的には長編というよりも中編に近い。実際、文春文庫から出ていたときは短編数編とセットになって出ていた。しかしこの作品の面白さだったら、このボリュームでも十分だろう。 |
| 備考 | 第38回(1985年)長編部門。 |