江戸川乱歩推理文庫第14巻(講談社)
『白髪鬼』



【初版】1988年6月8日
【定価】480円
【乱歩と私】「乱歩先生と私」陳舜臣


【紹介】
 金も名誉もある。無二の親友がいて、その上、人も羨む美貌の妻を得た。世界一の果報者と信じてきた男が、ある日突然、身の毛もよだつ地獄につきおとされた。妻と友の三重、四重の裏切り……生きながら墓場に埋められた男は、莫大な海賊の秘宝を見つけ奇跡的によみがえり、白髪白髭の復讐の鬼と化した。
(裏表紙より引用)


【収録作品】

作品名
白髪鬼
初 出
『富士』昭和6年4月号〜昭和7年4月号。
粗 筋
 【紹介】参照。
感 想
 黒岩涙香が1893年に翻案した『白髪鬼』をさらに翻案した作品。原作は1000枚以上の長編であり、涙香は名前だけ日本名にするも舞台はイタリアのナポリのままだったが、乱歩は300枚程度に縮めた。しかも原作ではコレラに罹患して死ぬのに、本作では友人の策略で殺される。他にもかなりの部分で乱歩流に変えられており、メロドラマに近かった原作が、陰惨な復讐ものに終わっている点は、趣味の問題があるとはいえ、ちょっといただけない。
備 考
 元々の原作は、1886年に発表されたマリー・コレリ『ヴェンデッタ』。1957年に創元社から翻訳されている。

作品名
地獄風景
初 出
『探偵趣味』1号(昭和6年5月)〜11号(昭和7年2月)に完結編を足し、『江戸川乱歩全集』第11巻(平凡社)に収録。
粗 筋
 M県Y市の百万長者である喜多川治良右衛門は百万の資材を投じ、郊外にけばけばしい巨大な「ジロ娯楽園」を作り上げ、仲間内だけが遊び狂う遊楽地となった。そんな「ジロ娯楽園」にて不可能としか思えない連続殺人事件が発生する。
感 想
 巨大迷路やパノラマなど、舞台は乱歩趣味があふれる設定。ただし、あまりにも悪趣味。犯人当ての設定があったと聞いているが、トリックは今一つ。最後はファースとしか言いようがないだろう。
備 考
 

作品名
初 出
『キング』昭和6年11月号〜昭和7年2月号。
粗 筋
 探偵小説家の殿村昌一は長野県S村へ帰郷していたが、村長の息子である大宅幸吉と散歩中、犬に喰われた死体を発見する。服装から、幸吉が嫌い抜いている許婚の山北鶴子であり、しかも殺人事件であったことが判明する。
感 想
 あるトリックはコナン・ドイルからの借り物。乱歩にしては珍しい本格探偵小説だが、平凡すぎて取り上げる点はない。
備 考
 

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