江戸川乱歩推理文庫第16巻(講談社)
『黒蜥蜴』



【初版】1987年9月25日
【定価】480円
【乱歩と私】「因縁のようなもの」栗本薫


【紹介】
 男たちの喝采の中で、黒ずくめの衣裳を取り去り、輝くばかりに美しい肉体を見せた暗黒街の女王。左腕の黒蜥蜴を蠢かせながら、婉然と笑う美貌の女こそ、稀代の宝石泥棒「黒トカゲ」である。女賊の魔手から、宝石商令嬢を守ろうとする探偵明智小五郎。二人の闘いは、いつしか微妙な恋の香りを放ち始める。
(裏表紙より引用)


【収録作品】

作品名
黒蜥蜴
初 出
『日の出』昭和9年1月号〜昭和9年12月号。
粗 筋
 【紹介】参照。
感 想
 三島由紀夫脚本による舞台の方が有名な作品。女賊が、敵と言える名探偵に恋をしてしまうという設定に魅かれたのであろうか。乱歩には珍しい女賊であり、その魅力を存分に記した異色作である。
備 考
 

作品名
石榴
初 出
『中央公論』昭和9年9月号。
粗 筋
 警察官の私は山奥にある温泉へ避暑に行ったが、そこで同じ探偵小説好きの紳士、猪股氏と出会って仲が良くなる。その翌々日、猪股氏は"TRENT'S LAST CASE"を読んでいた。猪股氏はこの本が大好きだという。探偵小説について語り合った二人だったが、猪股氏に促される形で私が話し始めたのは、10年ほど前に関わった「硫酸殺人事件」であった。
感 想
 当時権威のあった『中央公論』掲載ということで、力の入った中編。『トレント最後の事件』に触発された乱歩が、いつもの裏返しトリックを用いる。二人きりで語り合うというのも、「二廃人」など乱歩の好きなパターンである。通俗長編で名を馳せた乱歩にしては地味な作品のように見えるが、結末の部分に乱歩の美学も垣間見え、隠れた逸品と言った味わいがある。
備 考
 

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