江戸川乱歩推理文庫第23巻(講談社)
『幽鬼の塔』



【初版】1989年5月8日
【定価】520円
【乱歩と私】「私家版・乱歩ノート」天野喜孝


【紹介】
 奇人素人探偵・河津三郎が手に入れた鞄には、滑車と麻縄と血染めのブラウスと人差指のミイラが入っていた。この無気味な四つの取合せが何か恐ろしい秘密を語っている。
 鞄奪回をはかってまといつく血にうえた妖しの美少女と黒猫、そして高名な小説家、代議士、実業家に怪画家……謎は謎を読んで危機迫る!
(裏表紙より引用)
【収録作品】

作品名
幽鬼の塔
初 出
『日の出』昭和14年4-昭和15年3月号。
粗 筋
 紹介文参照。
感 想
 ジョルジュ・シムノン『聖フォリアン寺院の首吊男』の翻案。本来ならメグレ警視が探偵役なのだが、やはり乱歩は素人探偵を登場させた。原作は読んだことがないけれど、多分ここまでサスペンス風味な作品ではないだろう。どことなく安っぽさがみられるのは仕方ないところか。作者も仕方なく筆を執ったのだろうし。
備 考
 

作品名
断崖
初 出
『報知新聞』昭和25年3月1日〜12日。
粗 筋
 K温泉から1マイル離れた山道の断崖で、夫婦が会話を始める。妻の前の夫が亡くなった真相は。
感 想
 新聞紙に12回連載された短編。男と女の心理闘争もの。乱歩にしては珍しい作品で、この手の犯罪小説ももうちょっと読んでみたかったところである。
備 考
 

作品名
凶器
初 出
『大阪産業経済新聞』昭和26年6月13、20、27、7月4日、7月11日掲載。
粗 筋
 アプレ成金の佐藤寅雄の妻・美弥子が襲われ、右手を怪我した。容疑者は多情者美弥子のかつての恋人二人。港区S署の巡査部長、庄司専太郎は明智小五郎に事件の謎解きを依頼する。
感 想
 犯人当てということで掲載された作品。トリックはカーを引用したのだったかな。依頼されてとりあえず書いただけ、の作品ではあるが、50歳を超えた明智小五郎の姿が描かれている点は興味深い。妻は胸を患って、長い間高原療養所に入っており、助手の小林少年と二人暮らしと書かれている。
備 考
 

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