江戸川乱歩推理文庫第42巻(講談社)
『おれは二十面相だ/妖星人R』



【初版】1988年9月8日
【定価】640円
【乱歩と私】「思いでの図書室」石井敏広


【紹介】
 地球に接近する怪彗星「R]。微妙な軌道の揺れは、天文学上の法則にはずれ、巨大な宇宙船ではないかとの憶測も乱れ飛んでいた。そんな時、千葉県沖に謎の物体が落ち、海中よりカニ頭の怪人が出現する。「ワタシ、Rスイセイカラキタノデス……」。コンクリートを突き抜け、自在に姿を変化させるかに怪人の正体は?
(裏表紙より引用)


【収録作品】

作品名
おれは二十面相だ
初 出
『小学六年生』1960年4月号-3月号連載。
粗 筋
 古代研究所で大学生が部屋に入ったまま消えてしまった。その部屋には古代エジプトの呪いの巻物が最近、納められていた。小林少年が部屋に入って見張っていると、部屋の電気が消え、何者かが巻物の入った銀の箱を盗み出そうとした。犯人はあっさりと捕まったが、すぐに脱走。実は二十面相だった。
感 想
 最初の消失トリックは乱歩オリジナルだろうか。そのあとは透明人間に化けるのだが、これまた過去の少年ものの焼き直し。最後はポケット小僧というのも後期のワンパターン。掲載誌が異なるから、これでいいのかもしれない。
備 考
 ポプラ社版では『二十面相の呪い』と改題されている。

作品名
妖星人R
初 出
『少年』1961年1月号-12月号連載。
粗 筋
 【紹介】参照。
感 想
 奇怪な彗星が現れ、次はカニに似た怪人が登場。彗星までは無理だろうと読者に思わせながらも、結局はいつものように美術品を狙うのだから、あっさりと二十面相とわかってしまう。出だしはよかったのだから、もう少し工夫が欲しかったところ。そのあとはメフィストに化けて二十面相が登場するが、明智との○○○合戦はさすがに荒唐無稽にもほどがある。
備 考
 ポプラ社版では『空飛ぶ二十面相』と改題されている。他はともかく、これだけは元のタイトルの方がよかった。

作品名
探偵少年
初 出
『読売新聞』1960年9月12日〜12月29日連載。
粗 筋
 小林少年と野呂一平君が誘い込まれた西洋館の主人は、雲井良太という大金持ちの変わり者。自らのことを魔法博士と呼ぶ、奇術の名人だ。魔法博士は黄金の虎の宝物を小林少年に渡し、どこかへ隠してごらんと挑戦した。盗み出せれば魔法博士の勝ち。そして二か月以内に宝物を取り返せれば、宝物を少年探偵団にプレゼントするという。魔法博士と少年探偵団の、知恵の闘いが始まった。
感 想
 魔法博士との対決がメインであり、二十面相は登場しないのは、掲載紙の関係か。他人から美術品などを盗まないだけで、少年探偵団と遊ぶ姿は二十面相とあまり変わりないのだが、正体が最初からばれている分、健全性を考えたのだろう。最後は思考機械の脱出トリックを借用している。
備 考
 ポプラ社版では『黄金の虎』と改題されている。

作品名
天空の魔人
初 出
『少年クラブ』増刊掲載 1956年1月発売。
粗 筋
 小林少年と井上一郎君と野呂一平君は、春休みに長野県のある温泉へ旅行した。すると村では、雲の上から大きな手が現れ、鶏などを盗むなどの悪いことをしていく、という噂を聞かされる。そしてある日、十五両連結の貨物列車のうち、多くの美術品を積んだ七両目の車両だけが消えてなくなった。巨人の腕の仕業か。
感 想
 少年もの唯一の読み切り短編。小林少年、井上君、ノロちゃんという後期レギュラーメンバーが登場。舞台が東京ではないというの珍しい。列車消失トリックは、推理クイズでもおなじみの有名なものである。
備 考
 

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