大谷昭宏『事件記者2─陰毛怪怪殺人事件』(幻冬舎アウトロー文庫)

 空き家から発見された強烈な臭いを発する液体─それは死体が溶けたものだった。僅かに残る人骨と黒髪以外、身元も死亡時期も不明の殺人事件。何もない状態から証拠を発見するため執拗な科学捜査が始まる。果たしてこの事件は解決可能か? 実際の事件を元に刑事の執念と不屈の記者魂を描く話題の犯罪ドキュメント「事件記者」シリーズ第二弾。(粗筋紹介より引用)
 1988年11月、情報センター出版局より『陰毛怪怪殺人事件』のタイトルで刊行。1998年6月、幻冬舎アウトロー文庫より文庫化。

 昭和55年8月18日、豊中市の空き家から酷い悪臭が漂ってきたため、近所の大家が気付き警察に通報。2ヶ月前に引っ越した住人、榊原が残していった大きな梱包物のブリキ缶から、女姓の死体が出てきた。死後5年から10年経っていた。梱包物から当時引越を手伝ったガードマンの名刺が出てきて、5年前に豊中へこの荷物を運んだことを証言した。榊原は逮捕されたが、死体のことなど知らないと白を切るばかり。死体の身許は、キタの新地の超高級クラブのチーママであることが判明したが、捜査は一向に進展せず。鑑識課現場係のカメやんは、死体の陰毛から犯行日時を導き出す。「陰毛怪怪」。  早朝、谷の元へ、A社に特ダネを抜かれたとのデスクからの怒りの電話が掛かってきた。高槻の若妻殺しの容疑者が捕まったものだった。それを担当したのは、枚方の支局長から捜査一課担当に出戻ってきた、A社のプータローだった。半年前、プータローの送別を兼ねた一課デカvs.一課回り記者のソフトボール大会の当日、谷とS社のシンちゃんが特ダネをすっぱ抜いていたのだ。プータローが戻ってきたのは、このときのけじめを取るためだった。「出戻りプータロー」。

 あらすじにもあるとおり、刑事や記者たちの執念、根性、生きざまを描いたシリーズ第二弾。文庫版あとがきで「昔はよかった」とよく言われていると書いているが、刑事と記者が切磋琢磨していた時代はもう過ぎ去ったのかも知れない。どちらもサラリーマン化したのかも知れない。それはそうだろう。労働基準法も何もあったものじゃない。よく家族が文句を言わないものだと感心する。
 本書はこのシリーズでも最も面白いと思われる「陰毛怪怪」が収録されている。実話であるにもかかわらず、『陰毛怪怪殺人事件』は『このミステリーがすごい!』で第21位に挙げられたぐらいだ。アリバイを盾に無罪を主張する容疑者へ、捜査の花形とはとても言えない鑑識課現場係が真実の犯行日時を特定するまでのアプローチは、どこかおかしく、そしてそのアイディアをよくぞ思いついた物だと膝を打ってしまうものだ。さらに年の離れた若妻が協力するなんて、シチュエーションも最高だろう。それに協力する事件記者の谷もまた見事。操作一課長との阿吽の呼吸も、当時ならではなのかも知れない。
 このシリーズは、どれを読んでも面白い。これぐらい気概のある新聞記者に刑事、出てこないものだろうか。それとも、今でもこのような気概を持っている記者は刑事がいるのだろうか。




宮部みゆき『模倣犯』上下(小学館)

 公園のゴミ箱から発見された女性の右腕。それは「人間狩り」という快楽に憑かれた犯人からの宣戦布告だった。比類なき知能犯の狂気に立ち向かう第一発見者の少年と孫娘を殺された老人、二人を待ち受ける運命とは?
 炎上しながら谷底へ落ちていく一台の車。事故死した男の自宅には、数々の「殺人の記録」が。事件を操る真犯人の正体は…? あまりに切ない結末、魂を抉る驚愕と感動の長篇ミステリー。(粗筋紹介より引用)

 素直に脱帽。傑作です。この作品に言葉はいらない。とにかく読んで、感動するだけ。




蘇部健一『動かぬ証拠』(講談社ノベルス)

 細工は完璧のはずだった……。映像や音声を駆使した画期的アリバイ工作の落とし穴。周到な犯人が見落とした想像を超えるダイイング・メッセージの数々。いずれ劣らぬ完全犯罪が思いも寄らない1点から破綻する。その決定的瞬間をラスト1ページにとらえ、究極の証拠を一目瞭然で明かすかつてない本格ミステリ!(粗筋紹介より引用)
「しゃべりすぎの凶器」「逃亡者〜片腕の男」「黒のフェラーリ」「天使の証言」「転校生は宇宙人」「宿敵」「宇宙からのメッセージ」「逆転無罪」「リターン・エース」「再会」「変化する証拠」を収録。

 前作に引き続き半下石警部、山田刑事が登場する倒叙もの短編集。結末をイラストで示すというスタイルは、作風を考えた上ではうまいアイディアだと思う。文章では表現できない、もしくは表現する力がないといううがった見方もあるが、それは考えすぎだろう。
 ただ、肝心の「衝撃の結末」がうまく決まればよいのだが、必ずしもそうとは言いきれない作品があるのは考えもの。はっきり言えば、出来不出来が少々激しい。「逆転無罪」のように、オチが見えにくい作品もある。「しゃべりすぎる凶器」のようにインパクトがあれば、イラストを使った効果が見えるのだが……
 この路線を続けるのかどうかは不明である。どうせなら、とことん追求してもらいたい。いっそのこと、長編でもこのスタイルを通してみたら、とけしかけてみる。




白川道『天国への階段』上下(幻冬舎)

 家業の牧場を騙し取られ非業の死を遂げた父。最愛の女性にも裏切られ、孤独と絶望だけを抱え19歳の夏上京した柏木圭一は、26年の歳月を経て、政財界注目の若き実業家となった。罪を犯して手に入れた金から財を成した柏木が描く復讐のシナリオ。運命の歯車が狂い、ひとりひとりの人生が軋みだす…。 元強盗殺人犯・及川広美が刺殺された。彼の更生を固く信じていた老刑事・桑田規夫は、弔いを誓い志願して捜査を開始した。及川殺害を闇に葬ろうとする柏木に届いた脅迫状。それは柏木の犯行を示唆するものだった。無気味な影と執拗な警察捜査、そして第二の殺人事件…。復讐のシナリオは瓦解していくのか?罪深き魂は、いったいどこへ流れ着くのか?(粗筋紹介より引用)

 帯に書いてある現代版「ああ無情」という感じはない。主人公柏木は実際に犯罪を犯しているからだ。「復讐劇」というには弱すぎる。柏木から感じられるのは、虚しさばかりである。ミステリというよりメロドラマと言った方がピンと来る。連続ドラマにしたら受けるだろう。
 テンポ良くストーリーが進むので、上下巻という厚さは感じさせない。読んでいるときは面白いが、あまり後には残らない。




大谷昭宏『事件記者1 新婚夫婦殺人事件』(幻冬舎アウトロー文庫)

 大型台風が直撃した真夜中に発生した新婚夫婦殺人事件。夫の頭は叩き割られ頭蓋骨が見え、妻は全身メッタ切り、左腕は薄い皮一枚でかろうじてつながっていた……。元大阪府警捜査一課担当の事件記者だった著者が、実際の事件を元に、事件解決に向ける刑事の執念と人情、記者の矜持を生き生きと描く犯罪ドキュメント。衝撃の事件記者シリーズ第一弾。(粗筋紹介より引用)
 1987年11月、情報センター出版局より『新婚夫婦殺人事件』のタイトルで刊行。1998年2月、幻冬舎アウトロー文庫より文庫化。

 昭和五×年一二月×日深夜、東大阪市の四軒長屋から出火。左から二件目に住む一人暮らしの老婆、こいとばあさん(73)が焼死体となって発見された。しかし解剖で、胸を刃物で刺されて既に死んでいたか重体だったことが明らかになった。第一発見者である同じ長屋の大工が容疑者として浮かび上がった。捜査第一課の誰もが犯人だと思っていたが、班長のじっつあんだけはシロと断言。その後の捜査で、犯人は同じ長屋に住む別の男と判明した。「ホトケの神様」。
 捜査一課の情報係であるふーさんこと福田一。仕事は、捜査本部を設置する重大事件が発生したとき、その記録を本庁や各府県警の本部長宛に伝送すること。だから、一課のデカ連中からは軽蔑のまなざしを浴びていた。そんなふーさんと仲良かった事件記者の谷が部屋を訪れたとき、小松市で発生した強姦致傷事件の記録を見せられる。気になった谷は、知り合いである週刊文潮の記者にそのことを教えた。ネタがなかった記者は早速調査小松署へ向かったが、実は小杉署の事件だった。見事スクープを取った文潮の記者たちだったが、ふーさんは谷に記録を見せた真意を告白するのだった。「情報屋ふーさん」。
 昭和五×年八月二十四日、寝屋川市にある新興住宅地のマンションで、新婚九ヶ月の夫婦(26、22)が惨殺された。犯人は合鍵で侵入したらしいが、入居時に渡されていた鍵は三つとも部屋の中にあり、マスターキーは管理人室にあった。いったい犯人はどうやって鍵をコピーしたのか。じっくりじっくり進んでいくネコ型の刑事である捜査一課前田版の堅田鉄平から「第四の鍵」の話を聞いた、ネコ型記者である山中透の話を聞いた相棒の谷は、「第四の鍵」について大きく紙面に取り上げた。その翌日、部屋を新婚夫婦に貸していた男性の姉より警察に連絡があり、作ったコピーの鍵を男性が1年前にタクシーの中で落としたことを告げたのだ。そのことを書いた記事を読んだ豊中署の刑事は、かつて扱った前科二十二犯の根本剛平(53)の部屋に山ほど鍵があったことを思い出し、捜査本部へ連絡。根本が当日止めていたタクシー会社が、鍵を落とした男性の会社が契約していた会社と同じだったことを突き止め、捜査本部は別件の窃盗未遂で逮捕してしまった。しかし根本も強かで、しかも自供すれば死刑が待ち構えているのだから、堅田の尋問をのらりくらりとかわす。「三匹のネコ」。

 事件記者谷と刑事との関わりを、事件というフィルターを通しながら書いた作品。エリート官僚警察官が増えて警察の権威が失墜したり、事件記者も警察プレスからの発表を鵜呑みにして記事を書くようになったなど、様々な場所で避難されている警察、事件記者だが、こういう作品を読むと、昔気質の骨のある人物が多かったのだなと感じる。本来なら相容れない存在である刑事と記者との不思議な交流と心のつながりを書いた傑作である。
 どの作品も実在の事件を扱っているのだが、事件日、犯人などの名前は全て異なっていると思われる。「三匹のネコ」で扱われている事件の犯人は後に死刑が確定し執行されたが、事件日、被害者の年齢や名前、犯人の名前や年齢がいずれも異なっているからだ。




舞城王太郎『煙か土か食い物』(講談社ノベルス)

 アメリカのサンディエゴで外科医として働く奈津川四郎のもとに、実家の福井から連絡が入った。母が頭部を殴られ、入院したという。慌てて実家に帰ったが、母は意識不明の重体。近頃、この町では夫人の殴打事件が連続しており、母も被害者の一人となったのだ。同級生だった警察官、検事から情報を入手し、友人を奴隷のように扱いながら事件を追う四郎。事件の発生した場所からあるヒントを得、とある場所へ出掛ける四郎。そこにあったのは空の棺桶。しかも兄の三郎と知り合いの名探偵も同様に駆けつけてきた。探偵は三郎に依頼され、10年以上も前に失踪したままの兄の二郎を追いかけているという。この事件を解決するのはオレだとばかり、四郎も真相を追う。事件は四郎の実家である奈津川家と深く絡んでいるのか。第19回メフィスト賞受賞作。

「なんなんだ」としか形容のしようがない犯罪物語である。評価すべきなのかどうか、非常に迷ってしまう。
 確かに文章から迫ってくる迫力は凄い。句点の少ない文章。カタカナ英語と体言止めの多用。主語も述語も関係ない思考の羅列。それでいて、不思議に読みやすいのだから驚き。ともかく圧倒されることは間違いない。
 では内容はというと、暴力と自分勝手な思考、そしてご都合主義な推理と展開。いくらでも文句の付けようがあるのだが、それすらも許さない強烈な主張がある。死んでしまえば煙か土か食い物。強いモノが勝つ。オレは頭がいい。犯罪物語に全く似合わない暗号や消失トリック、それに名探偵も登場するが、それらは全て道化のための道具。いや、圧倒的な存在感を持つ主人公を始め、全ての登場人物が人形の如く作者に翻弄されている。そう、これは人形芝居なのである。だから作者が暴走したら、登場人物も暴走するのだ。作者が人形を操っているのだから、どんなご都合主義も自由自在。論理も倫理も必要なし。だったら読者は、その人形芝居を遠くから眺めていればよい。理屈も道徳も現実性も、考える必要はない。
 とことん好きになる人と、全く嫌いになる人と完全に二つに分かれるであろう作品。この人の評価は、次作を読まないと難しい。これ1作限りのものなのか、それともこの路線を突っ走るのか。




朝倉喬司『少年Aの犯罪α』(現代書館)

 「少年Aの犯罪」「九六年冬、東京足立区の殺人」「井の頭公園・バラバラ猟奇事件のトポロジー」「通り魔たちの「完全なる世界」」「帝都バラバラ死体物語」「オウム真理教という狂気」「今田勇子の“肖像”と死の年の中心点」「ポストバブル関東平野犯罪地図」を収録。雑誌等に掲載されたエッセイに、書き下ろしの表題作他を収録。

 少年Aは神戸の酒鬼薔薇事件の犯人。その深層心理に迫る。その他、通り魔事件の犯人など、様々な事件の深層を追求する。犯罪ものの第一人者、朝倉らしいディープな造り。とはいえ、その深層の探り方が、どんどん脱線しているのもこの人らしいといえるのだろうか。犯人像を追うルポルタージュではなく、その事件の周辺を中心に追いかけているから、エッセイと呼んだ方が正しいと思う。
 事件や犯人そのものの中心を攻めるのではなく、その周辺にうごめく世界を追いかけることによって、犯罪を浮かび上がらせる手法。時には主観が入りすぎ、そして脱線することもあるのだが、読んでみる分にはその脱線ぶりが興味深い。




玉川しんめい『実録 戦後国際犯罪』(二十一世紀書院)

 先日ブラジルから犯人が帰国して捕まったイギリスの大列車強盗事件、妊娠七ヶ月の人気女優の腹を切り裂いたシャロン・テート事件、大藪春彦『傭兵たちの挽歌』にも出てくるイタリア「赤い旅団」事件から、ホメイニ・イランの残虐処罰、南アフリカのアパルトヘイトなどの国際犯罪実録を収録。テーマが広すぎて焦点がぼやけているが、個々の事件についていえば、かなり深部まで追いかけている。また、巻末の座談会は犯罪実録に興味ある人には必読。
 この手の本はちびちび読めるので、気長に楽しめる。




若木未生『オーラバスター・インテグラル 月光人魚』(徳間デュアル文庫)

 永遠に続く夕暮れの砂浜にちりちりと鱗を光らせ、人魚がいた。人魚はその白い牙で、俺の人差し指の先を、さくりと喰った。うまいのか?俺は聞いた…。夢―大学生作家・鳴木喬士の見た夢はのちの人間"液状化"事件の前兆であった。彼の周囲に出没する、冴えない男・三島アカリとは、いったい何者なのか?苦い青春、身内への暴力、コミュニケーション不全、歪んだ性。人の意識の界面を鮮やかに活写する、ドラマティック・エンターテインメント。オーラバスター新シリーズ、書き下ろしで登場。(粗筋紹介より引用)

 コバルト文庫で人気を博している「ハイスクール・オーラバスター」の姉妹編というべきなのか。しかし、忍様以外に共通する登場人物はいないし、内容がリンクする様子もない。シリーズものになりそうなので、今後を温かく見守ろう。




日影丈吉『名探偵WHO'S WHO』(朝日新聞社)

 海外の名探偵紹介日影流。スタンダードに見えて、やはり日影らしい面白さと知識、そして視点がそこにある。




辻真先『SLブーム殺人事件』(朝日ソノラマ文庫)

 W大学に入った薩次と、なぜか浪人のキリコ。SLブームにより山口県のある支線でSLが復活する。選挙の手伝いで山口にいくことになったキリコの兄・克郎を頼り、二人は山口へ向かう。山口では熾烈な選挙戦が行われいた。そこへ二つの陣営に届いた脅迫状。身内を殺すという新聞の切り抜きで書かれていた脅迫など、悪質ないたずらに違いないと思っていた皆であったが、事件が発生した。
 朝日ソノラマ文庫に書かれたキリコと薩次のシリーズ第5弾。

 他の5作は読んでいたのだが、これだけは読み残していた。
 事件の内容と、SLブームと関係ないじゃないかと思うのだが、まあそれはいいっこなしということなのだろう。その点を除けば、ミステリとして面白い。辻のこのシリーズは、意外な設定で魅せてくれるのだが、本作は珍しくストレートな仕掛け。それでも作者らしい謎の設定はさすが。
 たぶん、当時のジュヴナイルだったから、好きなことができたのだろう。もし新本格ブーム以後に書かれていたとしたら、ミステリファンの話題を独り占めしていたに違いない。そういう意味では、早すぎる作家だったと思う。もちろん、本格ミステリファンには大きな存在としてあったのだろうけれど。




二階堂黎人『悪魔のラビリンス』(講談社ノベルス)

 三重密室殺人と人体消失。寝台特急「あさかぜ」の個室で起こった、世にも怪奇な事件。さらに、若い男性の全裸死体が氷柱の中に陳列されたガラス御殿の謎。悪夢、混沌、泥沼…。「殺人の美学」を纒った魔王ラビリンスの企てに、蘭子は「純粋論理」を楯に推理の槍を突きつける。怪人対名探偵の対決は、果たして…。(粗筋紹介より引用)
「寝台特急《あさかぜ》の神秘」「ガラスの家の秘密」後日談的な『解けゆく謎、深まる謎』が収録されている。

 久々に乱歩通俗の持ち味を引き継いだ作品を読んだ。面白い。仰々しい謎のわりにチープな解決というのが、いかにも乱歩通俗札品ならではだ。本人は素晴らしいトリックを思いついたと思いこんでいるんだろうけれど(笑)。




戸松淳矩『名探偵は九回裏に謎を解く』(朝日ソノラマ文庫)

 背ばっかりヒョロヒョロ高いわりに、馬みたいにでっかい尻をしてて、もうこれ以上ないってくらいの不器用な転校生の鳴門が、なんと前の高校でエースとして甲子園に出ていたというから、さあ大変だ。このところさっぱりのわが野球部に、今度こその気運が高まったとき…。好事魔多しとはまさにこのことか!?相次ぐ怪事件に、オレたち迷探偵トリオは?ますます快調な第二弾。(粗筋紹介より引用)

 幻の作家、戸松淳矩のシリーズ第二作。今回も迷探偵トリオが廻りを引っかき回したあげく、最後は何とか事件が解決する。といっても、トリオが事件を解決するわけではないところが、このシリーズの面白いところ。このような高校時代を過ごしたかった、このような仲間が欲しかった、そう思わせるシリーズだろう。血なまぐさい事件が起きるわけでもなし、陰湿な事件が起きるわけでもなし。それでいて、本格ミステリの面白さと醍醐味は十分に兼ね備えている。登場人物も読者も、みんなハッピー。それがこのシリーズの面白さだと思う。



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