西澤保彦『スコッチ・ゲーム』(カドカワ・エンタテイメント)

 飲んでから解くか、解いてから飲むか。酩酊推理の合体パワーが炸裂するキャンパス四人組―通称タックこと匠千暁、ボアン先輩こと辺見祐輔、タカチこと高瀬千帆、ウサコこと羽迫由紀子―が安槻大学へ入る前。郷里の高校卒業を控えたタカチが学園の寮へ帰ってくると、同性の恋人が殺されていた。容疑者は奇妙なアリバイを主張した。犯行時刻、自宅マンションの入口で不審な人物とすれちがった。その人物は酒のにおいをぷんぷんさせ、手に一本の高級スコッチ・ウイスキーを下げていた。つけていくと、河原に出、ウイスキーの中身をすべて捨て、川の水で中をすすいでから空き瓶を捨て去った、と。そして、第二の惨劇が……。タックたちは、二年前の悲しみの事件の謎を解き、犯人を指名するため、雪降りしきるタカチの郷里へ飛んだ。(粗筋紹介より引用)
 1998年、書き下ろしの一冊。

 副題をつけるとしたら「タカチ自身の事件」か。今回はキャラクターの面白さとミステリの面白さが適度にミックスしていて良かった。いつの間にかこういう作品も書けるんだなっと妙に感心してしまった作品。タカチとタックはやはり幸せになってほしい二人です、★★★★。




森博嗣『今はもうない』(講談社ノベルス)

 電話の通じなくなった嵐の別荘地で起きた密室殺人。2つの隣り合わせの密室で、別々に死んでいた双子のごとき美人姉妹。そこでは死者に捧げるがごとく映画が上映され続けていた。そして、2人の手帳の同じ日付には謎の「PP」という記号が。名画のごとき情景の中で展開される森ミステリィのアクロバット!(粗筋紹介より引用)

 完全に季刊と化した。今回は西野園嬢大活躍。別荘でのお見合いから逃げ出して山の中で道に迷う。そこで出会った中年の男性にわがままを言い、その男性が泊まっている別荘へ行き、そこで双子の女性の殺人事件が起きる。

 登場人物は嫌いなのだが、ついつい読んでしまう恐ろしいシリーズ。しかし、今回はいつもと違って嫌みがない。やはり犀川がほとんど出てこないからに違いない。うーん、萌絵も嫌みな女だが、それを犀川が助長していた訳か。やっと納得。
 今回は騙されました。所々にヒントはあったんですがね。まあ、こういう騙され方ならヨシとしましょう。ただし、本書は今までの著作の中でもっともミステリ味が薄い作品です。それでもトリックはあるわけだから一応ミステリか。もっともこれ、シリーズファンじゃなかったらつまらない作品でしょうね。最近の森博嗣にしては珍しく★★★。