清涼院流水『カーニバル 人類最後の事件』

 大人気JDC(日本探偵倶楽部)シリーズ最新最大最高傑作!
 人類最後の事件、「犯罪オリンピック」現象は遂に佳境に。九十九十九、龍宮城之介らJDCの名探偵は世界滅亡の危機を救えるのか?ミステリバブル崩壊必至の書。(粗筋紹介より引用)

 『カーニバル・イヴ』ってどんな作品だったっけと悩みながら、本を読んでいたらまだ続きがあった。完結編が出てから感想を書こうと思います。とりあえず、なんだかんだいってもこの厚さを一気読みさせてしまう情熱とパワーは凄いと思う。




森博嗣『森博嗣のミステリィ工作室』(ダ・ヴィンチブックス)

 森博嗣初のエッセイ集。まずは、森博嗣ってあまりミステリ読んでいなかったんだなって思わせる(ホームページで書いていたけれど)ミステリ100冊選出。思ったより普通(一部「らしさ」が見えたが)の100冊だったが、逆に新本格ファンや森博嗣単独のファンにとっては結構変わった100冊ではないのだろうか。できればこの100冊読んで、森博嗣以外にも面白い本があるんだよって感じてほしい。
 自作紹介はじっくり読むと辛い(理由は言わない)ので飛ばし読み。他のエッセイはホームページなどで読んだものが多いので斜め読み。とはいえ、森博嗣独自の発想が楽しめる。ただ、あのマンガはちょっと辛い。
 森博嗣ファン以外には辛いだろうなあと思いつつも買ってしまったが、読んでみると結構楽しめる。逆にファン(マニアと言い換えようか)以外が森博嗣を知るには格好のテキストかもしれない。とはいえ、自作紹介を読んでも森博嗣の著作群を読み返そうと思わないのは何故だろう(笑)。  なお、エッセイ「スペースシャトル〜」は初出誌を持っていて、これは当分本にならないだろうなあとほくそ笑んでいたのに残念。




阿刀田高『ミステリーのおきて102条』(読売新聞社)

 “おきて”とあるが、実際はミステリーの書き方と阿刀田高流のミステリーの読み方、そしてミステリや映画、日常的なことからのヒントの拾い方が書かれている。この手の本は本格、新本格の作家しか読んだことがなかったのだが、妙に難しく書かれていることが多いし、自分が強く影響を受けたものだからクイーンやカー、クリスティに乱歩、横溝などの作品やスピリットに触れるものが多い。しかし、ショートショートから長編まで、物語の名手阿刀田高。もちろん過去の作品に、逆に新鮮であり、そしてわかりやすかった。「謎」というのはちょっとしたことからも広がっていくんだなということを再認識させてくれる。ミステリを書きたいという人にはお薦めしたい。ミステリは何も難しく書くことはないんだよということを教えてくれる。




エリザベス・フェラーズ『猿来たりなば』(創元推理文庫)

 イギリス南部ののどかな自然に囲まれた村、イースト・リート。トビーとジョージは、このロンドンから遠く離れた片田舎に誘拐事件を解決するためにはるばるやってきたのだが、とこでふたりを待ち受けていたのは前代未聞の珍事件、なんと、チンパンジーの誘拐殺害事件だった!イギリス・ミステリ界で半世紀にわたって活躍してきた重鎮エリザベス・フェラーズの傑作本格ミステリ。(粗筋紹介より引用)

 フェラーズは一応持っているのだが、読むのは初めて。大分前のことだが、『私が見たと蠅はいう』(ハヤカワポケミス)を読み始めたのはよかったがなにかの都合で別作品を読むことになり、しおりを数十ページの間に挟んだままになっているのだ。
 読み始めるとこれが面白い。イギリスのユーモアは、日本という風土や習慣に馴染まないためか(単に私がユーモアを解しないためかもしれない)、今ひとつわかりにくいものがある。しかし本作品は笑える。猿が殺されたということについて大まじめに取り組む周りのドタバタさは何とも言えない可笑しさだ。それに名探偵気取りのワトソン役。名探偵の真似をするワトソン役は多かったけれど、「自分が名探偵で相棒がワトソン役」と確信しているワトソン役というのは初めて読んだ。なるほど、こういう設定もあるのか思わず膝を打ってしまった。それでいてきちんと本格をしているのだから、英国ミステリは奥深い。ちゃんと謎の手掛かりも皆の前に提示されている。私はただのユーモアものとしか読んでいなかったので驚いた。勿体ないですね、こういう本が今まで訳されていなかったなんて。シリーズが何作かあるようなので、これからも訳していってほしいです。