獅騎一郎『スパイ暗号ゲーム』


獅騎一郎 『スパイ暗号ゲーム』
(KKベストセラーズ ワニの本)




『スパイ暗号ゲーム』


 『スパイ暗号ゲーム』
  国際謀略に挑戦する

 著者:獅騎一郎
(1931年、東京生まれ。衆議院速記者養成所卒後、毎日新聞社勤務。その間、ミステリー映画のシナリオ作家として活躍。またパズル作家としての著書も多数ある)

 発行:KKベストセラーズ ワニの本

 発売:1973年10月15日初版

 定価:580円(1975年5月25日 第16版当時)




(前略)
 現代に生きるあなた。江戸幕府が諸大名を抑えるため「間(スパイ)行為は武士にあるまじき卑劣な行為である」とうたい上げた言葉より、「スパイこそ、最高の知識人で紳士でなければならない」というイギリスの諺のほうを取られると信じて、わたしはこの本を書きました。推理こそは、人間だけに与えられた、最高級の特権ではないでしょうか。
 私としては、本書が単なる謎解きにとどまらず、スパイと暗号の入門書の一助にでもなれば、と思っていますが、まあ、そこまでむずかしくこだわらずとも、単なるクイズとして、頭のレクリエーションを楽しんでもらって結構です。
 なお、本書の執筆にあたっては、編集部の印南和麿氏にひとかたならずお世話になりました。氏の叱咤激励がなかったら、本書は生まれていなかったでしょう。心から謝意を表します。
(後略)

(「スパイこそ現代の英雄――まえがにかえて」より引用)

【目 次】
 1 「暗号」への挑戦
 2 「産業スパイ」への挑戦
 3 「第1次大戦」への挑戦
 4 「女スパイ」への挑戦
 5 「第2次大戦」への挑戦
 6 「暗号小説」への挑戦
 7 「国際謀略」への挑戦
 8 「忍者」への挑戦


 スパイを取り扱ったクイズものとしては、最も初期に著された一冊。気合が入っているようで、かなりのボリュームである。
 内容のほうも暗号やスパイテクニック、実在したスパイのエピソードやスパイ方法。さらに戦国・江戸時代のスパイともいえる忍者。そして「スパイ入門」のコラムではスパイの歴史やエピソード、最新技術などを紹介している。
 まえがきにもあるとおり、スパイの入門書、歴史書としても十分役立つだろうし、単なるクイズとしても十分読み応えがある。歴史の舞台裏で、スパイがいかにして働いてきたかがわかるはずだ。
 スパイものとしてお勧めの一冊。

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