加賀乙彦 『死刑囚の記録』
(中公新書)


発行:1980.1.25



 作家であり、精神科医でもある著者が、1955年、東京拘置所の精神科医官となってから数多くの死刑囚と接した記録を綴る。直に死刑囚に接しただけあって、生の死刑囚の声、死刑囚の心理状態を知ることが出来る。特に、目の当たりにする拘禁ノイローゼの状況は、死刑囚の心理状態を知る上で貴重な記録である。
 死刑囚を、このような状況下において監視することが正しいのかどうか、私には非常に疑問である。実際に、拘禁ノイローゼにかかっているせいで、執行できない死刑囚も存在する。我々はもっと死刑囚の実態を知る必要がある。

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