著者は昭和36年、強盗事件で死刑を求刑され、無期懲役の判決を受ける。宮城刑務所に服役、その後「死刑囚監房掃夫」として多数の死刑確定囚の世話、死刑執行後の遺体の後始末を担当する。15年服役後、昭和51年に仮釈放。8年後に復権を認められる。合田士郎はペンネームである。
実際に塀の中、檻の中にいて、そして死刑囚と直に接しただけあって、その描写はとてもリアルである。死刑の状況はとても凄惨である。しかし本書は、帝銀事件の平沢貞道、牟礼事件の佐藤誠などの死刑囚との心温まる、そしてときにはユーモラスなエピソードもある。死刑という凄惨な出来事と比較すると、あまりにも哀れである。死刑執行の現場を知る上で、決して欠かすことの出来ない一冊である。
現在は、増補版(1998.2.25発行)として出版されている。
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