1946年の小平事件から1998年の和歌山カレー殺人事件までの有名事件を、詳細な文章と写真で紹介している。特に主観を交えることなく、事実そのものを追うことにより、逆に事件の背景、原因を考えることができる。「あとがき」にもあるが、犯罪を通してこそ、日本の社会の変化が見えてくる。なぜ事件を起こしたか。それは時代と文化の影響を抜きにして考えることはできない。
巻末には戦後犯罪年表もあり、犯罪史を考える上で重要な一冊。ただ、全員が実名というのはどうであろうか。既に罪を償った人物は、やはり仮名で扱うべきではないかと思う。
著者の福田洋はドキュメンタリだけでなく、ミステリ作家としても活躍。映画化された『凶弾』が代表作。桜田忍名義で第13回オール読物推理小説新人賞も受賞。
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