年報・死刑廃止編集委員会編『年報・死刑廃止98 犯罪被害者と死刑制度』(インパクト出版会)

発行:1997.6



【目次】

大山友之(坂本弁護士の妻都子さんの父) 人の命は大事だからこそ死刑判決を
特集・加藤智大さんの死刑執行
河野信行(松本サリン事件被害者) 真の制裁は他人にはできない
シスター・ヘレン・プレジャン 被害者遺族支援運動に関わって─アメリカの経験から

処刑された人を悼む―日高安政・信子死刑囚、神田英樹死刑囚、永山則夫死刑囚
平川宗信、村岡啓一、安田好弘、岩井信 暴走する検察庁―5年連続検事上告を考える
徹底討論・死刑廃止へ向けてどうするか─この5年間の歩みと展望
菊田幸一 死刑代替制論議の提唱
四国フォーラム座談会 いのちの絵画展ができるまで

宇野裕明 再審請求中の死刑執行国賠
永井美由紀 告知当日の死刑執行は違憲国賠訴訟傍聴記
小川原優之 死刑廃止をめざす日本弁護士連合会の活動報告
太田昌国 この一年で四人が亡くなった「死刑囚の表現」が語るもの 第17回死刑囚表現展を終えて
太田昌国 『免田栄さんを知っていますか?』開催に当たって

第11回死刑映画週間
可知亮 ゲストのトークから
前田朗 死刑関連文献案内 一九九六年
菊池さよ子、益永美幸、高貝淳、前田朗、菊田幸一、岩井信、大道寺幸子、寺中誠 死刑をめぐる状況1996

死刑廃止に賛成を表明した国会議員一覧
菊池さよ子 死刑判決・無期懲役判決(死刑求刑)一覧


死刑廃止運動にアクセスする

死刑を宣告された人たち

法務大臣別死刑執行記録

死刑廃止年表2021


─ある日突然、最愛の家族が殺される。やり場のない怒りで遺族は何年もの間苦しみ続ける。犯人を死刑にしろ、という声が聞こえてくる。しかし、犯罪被害者遺族にとって死刑制度は本当に癒しになっているのだろうか。オウム事件や誘拐犯罪事件の遺族の語る死刑制度とは。被害者遺族のケアをなおざなりにしたまま連綿と続く死刑を今考える。(粗筋紹介より引用)  毎年10月10日の死刑廃止デーに発行される「年報・死刑廃止」の2023年度版。編集委員は石塚伸一、岩井信、可知亮、笹原恵、島谷直子、高田章子、安田好弘、深田卓(インパクト出版会)。
 巻頭座談会は2023年8月1日に行われたもので、袴田事件弁護団事務局長の小川秀世、元裁判官で弁護士の木谷明、精神科医の中島直、弁護士の安田好弘によるものであり、袴田事件の公判の進行状況や現状などについて語られている。

 「死刑制度を変える 三つの訴訟について」は、岡本(旧姓河村)啓三元死刑囚が再審請求中に死刑執行されたことに対する弁護権侵害国賠訴訟、知当日の死刑執行が違法かどうかを争う訴訟、絞首刑が残虐で非人道的な刑罰であり国際人権規約に違反するとする絞首刑執行差止請求である。  「死刑執行の無法状態を糾明する訴訟傍聴記」の一つ目は、岡本(旧姓河村)啓三元死刑囚が再審請求中に死刑執行されたことに対する弁護権侵害国賠訴訟の傍聴記である。『年報・死刑廃止2021』から弁論の内容が毎年掲載されている。強盗殺人罪ではなく強盗罪と殺人罪だから死刑判決にはならないはずだという主張は河村元死刑囚の言い逃れにしか聞こえない。どちらも殺されて金を奪われた結果なのだが、彼らにとっては中身が違うらしい。そもそもあの犯行状況で殺人を目論んでいなかったという主張が通るほうがおかしい。こういう詭弁をまともに取り上げようとするところが、死刑廃止運動が一般に広がらない要因の一つだと思える。
 二つ目は告知当日の死刑執行が違法かどうかを争う訴訟である。こちらは『年報・死刑廃止2022』から毎年掲載されている。
 三つ目は絞首刑施行差止請求訴訟である。こちらは第1回口頭弁論から掲載されいる。

  「朗読「2022年死刑囚アンケート」」は死刑廃止国際条約の批准を求めるフォーラム90と福島みずほ事務所が共同で2008年から4年ごとに行われている死刑囚へのアンケート結果であり、今回は5回目となる。アンケート返信数は52通で、死刑囚107名の約半分。2022年10月9日の「響かせあおう死刑廃止の声」(星陵会館)でパワーポイントでグラフやアンケート用紙を上映しながら朗読劇を上演した。アンケート回答者で本誌に掲載されいているのは、倉吉政隆、石川恵子、尾田信夫、浜川邦彦、風間博子、小林竜司、池田容之、林振華、芳我匡由、坂口弘、中原澄男、加藤智大。
 気になる回答は以下(要約、抜粋)。
 尾田信夫「西武雄は当時100kg超の巨漢であり、それが災いして、落下時の荷重で首がちぎれかかった血が滝のように溢れ、刑場地下の床はまさに血の海であったという。以上は、従事した職員複数の伝聞であるものの、迫真に富み事実と思われる」
 中原澄男「当所にて、床下から熱やドライアイスが上がってくること。デンパに毎日嫌な思いをしていますし、もう両足が悪くて歩くのが痛いです。毎日夜勤者が人のおる房に入って、デンパや足に熱やドライアイスを入れます。こんなことが無くなればいいと思う」

 追悼文にある加賀乙彦さんは医学者(犯罪心理学)、精神科医、作家。「死刑廃止国際条約の批准を求めるフォーラム'90」創設時の5人の呼びかけの一人。2006年以降、「死刑廃止のための大道寺幸子・赤堀政夫基金」死刑囚の表現展の選考委員として参加していた。
 永井清(迅)さんは「年報・死刑廃止」の編集委員で、フォーラム90、監獄人権センター、そばの会などで獄中者や死刑囚の人権のために活動していた。

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